たばこ工場を芸術の広場に /大邱


 大邱市中区寿昌洞の「KT&Gたばこ製造工場」の別館に入ると、閉鎖されていた電力発電所を再活用した英国ロンドンのテートモダン美術館が思い浮かんだ。面積約800坪(約2640平方メートル)余り。床から天井までの高さが5メートルもある室内は、9メートル間隔で立てられた柱があるだけのだだっ広い空間だ。大型の作品が多い現代美術を展示するのにちょうどよい空間のように見える。

 大邱のたばこ製造工場は韓国で最初にできたたばこ工場だ。1923年に赤いレンガの3階建ての工場と5階建ての倉庫が建てられ、70年代に入ってからせまい道を挟んで5階建ての別館倉庫が作られた。敷地面積約5万3456平方メートル(延べ面積7万9917平方メートル)の巨大な団地だ。大邱市中区に住むチョ・ヨンスさん(51)は、「学生時代、バスに乗ってこの地域を通り過ぎると、きついたばこのにおいがした」と話す。99年にたばこ製造・保管場所が大邱から慶尚北道栄州市に移転し、この工場は機能を失い「廃物」となった。


 2000年代初め、大邱地域の文化人や市民団体によって「産業遺産を文化空間にしよう」という話し合いが始まり、昨年たばこ製造工場別館を「大邱文化創造発展所」にするという、多少抽象的な計画が決定した。大邱市文化芸術課のキュレーター、クォン・ソンアさんは「展示場や公演場、作家のためのスタジオなどを検討中だが、まだ決まっていない。2011年の大邱世界陸上選手権大会に合わせ、完成させる予定」と説明した。

 まだ一般には公開されていないが、たばこ製造工場を管理しているATBTに予約すれば見学もできる。貨物用エレベーターに乗って別館5階まで上り、屋上に出ると、達城公園や大徳山、八公山など大邱のランドマークを一望できる。空っぽの倉庫は、広い空間を見慣れていない現代人に新鮮に映るだろう。道の反対側にある工場の暗い迷路のような通路のあちこちで、「物資をもっと節約しましょう」「整備徹底、事故予防」などの標語が目に付き、産業化の全盛期だった1960-70年代の雰囲気を醸し出している。



◆予約

 たばこ製造工場を見学するにはATBTに電話で予約する。月曜日から金曜日まで、5人以上の団体のみ観覧可能。

◆中区裏通りツアー

 大邱は韓国戦争の被害を受けていないため、日本植民地時代、近代の道や建物がそのまま保存されている。大邱市中区庁は「裏通りツアー」を五つのコースに分けて実施している。このうち「大邱、あのときあの時代」(第1コース)、「近代文化の足跡」(第2コース)をたばこ製造工場のツアーと結びつければ、大邱の近代産業の遺跡が理解しやすいだろう。毎週第3週木曜日と第2・4土曜日の午前10時。料金は無料で、一通り見学するのに約2時間かかる。第1コースでは1931年に建てられた旧朝鮮殖産銀行、サムスン商会跡などを見学できる。第2コースでは宣教師スウィッツの家、桂山聖堂、華僑協会の建物など、大邱の近代建築物が見学できる。第1コースは花町を通過するため、子ども連れには向かない。問い合わせは中区庁文化観光課まで。

大邱=キム・ソンユン記者
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