春は「貝」が美味しい季節

 ソウルや首都圏で手軽に貝を食べられるところといえば、仁川市の蘇来浦や沿岸埠頭の魚市場、京義道始興市の烏耳島。これらの市場は最近、ヒラメ、サッパ、マナガツオなどの魚や、卵がたくさんつまったワタリガニ、イイダコを売る商人とそれを買いに来た人たちでにぎわっている。

 ここを訪れる客のほとんどは貝が目当て。昔の人たちはよく、「春は貝、秋はコノシロ」と言った。昔から伝わる言葉に間違いはないもの。蘇来浦で食べた焼き貝は非常に美味しかった。何の味付けもせず、網で焼いただけなのに、貝から出たエキスがまるでバターで焼いたように甘く香ばしい。柔らかいのに歯ざわりはシコシコしている。

 しかし、春に貝を食べても安全なのかが気になるところだ。烏耳島の水産物直販場「ハナネ貝類」のイ・ジョンランさんは、「貝は春から秋にかけて食べるもの。カキとイガイさえ食べなければ大丈夫」と話す。

 仁川沿岸埠頭の「チルソンネ」の主人は、「焼いて食べても、煮て食べても美味しい」と言いながら、ホタテガイ、ハイガイ、アカガイ、イガイ、アサリ、マテガイ、ホネガイ、ハマグリ、サザエ、シオフキなど10種類以上の貝を選んでくれた。「貝は焼いて食べるのが一番です。焼くことができなければ、少量の水で蒸して食べても美味しい。酢を加えたコチュジャンをつけるだけで十分美味しく食べられます」

 チルソンネの主人は細かい筋のある大きな貝を手に取って説明した。「ウンピという貝ですが、トリガイの味がします。トリガイは冬の3カ月間しか捕れないため、トリガイ好きの人はこれをトリガイの代わりに食べるようです。焼いて食べても美味しいけれど、特にしゃぶしゃぶがいいですね。ピジュクは舌を刺すような刺激があるため生では食べられませんが、スープにするといい出汁が出ます」


 イガイは海草がたくさんついたものとついていないものの2種類に分かれる。「海草がついたものは天然物です。天然物は肉質が硬いため身はさほど美味しくありませんが、スープにするといい出汁が出ます」

 蘇来浦「双子焼き貝」のチョン・ギュニョさんは、「ホタテガイのウロを食べてはいけない」と教えてくれた。「ホタテガイは海の中で水銀を食べて育ちます。それがウロに蓄積されるため、ウロさえ捨てればあとは大丈夫。青黒い部分がウロです。

 ハマグリは刺し身にしても、焼いても、煮ても、スープにしても美味しい万能な貝。テンジャンチゲ(韓国風の味噌鍋)に入れても美味。黒いのが韓国産で、黄色いのは中国産の確率が高い。かめばかむほど味が出る。

 シジミは貝類の中でも一番美味しい出汁が取れる。うまみを出す成分のコハク酸がほかの貝より10倍以上多く含まれている上に、甘味を出すグリシンもたっぷり含まれている。貝殻と身の間にある体液の中にこの成分が濃縮されているため、貝殻をつけたままで煮るのがお勧め。アサリもシジミに負けないほどの美味しい出汁が取れる。

キム・ソンユン記者
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