シン・スンフン「バラードの帝王という自意識を葬る」


 歌手シン・スンフンが9-12日、LGアートセンターでわずか990人の観客を集め、「ザ・シン・スンフンショー-リミテッド・エディション-」を開催。チケットパワーを見せつけるかのように、常に1万-2万人の観客が訪れるような大型の競技場や劇場でコンサートを行ってきたシン・スンフンに、どんな心境の変化があったのだろうか。

 今年3月末、ソウル市江南区清潭洞のカフェで会ったシン・スンフンは、「今回のコンサートは僕が“バラードの帝王”という自意識を葬り去るための段階」と話した。シン・スンフンはこのほど、日本進出のため新しいアルバム『アコースティック・ウェーブ』をリリース。一時、完全に缶詰状態でアルバムの準備をしていたせいか、少しほおがふっくらしたように見えた。シン・スンフンは「日本でのプロモーション公演のため、なんとか5キロはやせようと、ここ数日間夕飯を抜いている」と話した。

-観客990人のコンサートは、ファースト・アルバムをリリースして以来、初めてのことだと思うが。

 「大型のコンサートだけをするとか、競技場でばかりするという認識を変えたかった。競技場ではいくら努力しても、整ったサウンドは出せない。歌手の一人として、音質の優れた場所でコンサートをする姿も見せるべきではないかと思ったし、無駄をそぎ落としたコンサートをする必要もあると思った。これまで競技場でコンサートを行っていた理由は、それが何とか赤字を出さなくて済む方法だったから」

-コンサート自体をブランド化する野心があるという話を聞いたが。

「『ザ・シン・スンフンショー』というのをブランド化し、その中でさまざまな公演を企画してみたい。今回のように1000人にも満たない観客を呼んで『リミテッド・エディション』的な公演を行ったり、アコースティックサウンドだけの公演『ザ・シン・スンフン-アコースティック-』、ミュージカルのように公演をする『ザ・シン・スンフン-ドラマチック-』、歌手仲間たちと一緒に公演をする『ザ・シン・スンフン-フレンズ-』といったコンサートをどんどん開催してみたい」

-『ザ・シン・スンフンショー』というタイトルからして、自身を「バラードの帝王」と称する自意識が感じられるが。

 「誰が見ても『シン・スンフン印』と感じられるだけの独創的なコンサートをしたいという意味であって、僕がバラードの帝王だと自慢しているのではない。実際、そんな自意識を捨てなければならないという思いから、今回のコンサートを企画した。これまでは新しいアルバムを出した後、華やかにコンサートを行わなければならないという強迫観念があったが、今回はそんな枠を越え、楽に歌を歌うことにした。LGアートセンターでやってみたくて申し込んでみたのだが、実現するとは思わなかった。初めてのコンサートのように緊張した」

-緊張? デビュー20年にもなるのに? あなたにはもう、コンサートの会場で次の曲は何かバッチリ予想できるほど熱烈なファンまでいるのに?

 「それでも怖い。今では何をしても、『それ、何十回も見たわよ!』とみんなニヤニヤ笑っている」

-だからこそレパートリーを変える必要があるのでは? いつもコンサートの1曲目は『微笑みに映った君』を歌い、ミニアルバム『ラジオ・ウェーブ』でもヒット曲メドレーとして「イントロ」を作ったのは安易な選択ではないかと思うが。

 「僕なりにファンのための配慮だと思ってしたことだが、マンネリ化していると思われているようだ。大幅に変えると失望するファンもいる。僕のコンサートに初めて来た人と何度も来た人の間でバランスを取るのが難しく、そこが一番の悩み」

-いつもアルバムのほとんどの曲を自分で作詞作曲するのは、自信があるから? それとも義務感のため?

 「僕はいつも新しい作曲家を探し、曲を任せてみようと頑張っている。全部僕の歌にしなきゃ…と思ったことは1度もない。それなのに、ほとんどの作曲家の皆さんがプレッシャーを感じるのか、僕には曲を作れないと逃げ出してしまう。次は思い切って新人の作曲家に曲を任せてみようと思っている」

-歌手生活が20年になろうとしている。どんなコンサート、どんなアルバムを計画しているのか。

 「以前はアルバムをリリースするたび、何か新しいものを見せなければならないと思い、マンボやアフリカン、ボサノバなどを取り入れた曲を作ったりもした。しかし今はそのような曲よりも、僕だけの歌、声で訴えかけるような音楽、それ自体が大切だということを知った。一番シン・スンフンらしい曲を歌いたい。

それがロックであれ、アコースティックであれ、バラードであれ、ジャンルは重要ではないと思っている」

ソン・ヘジン記者
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