五感を満足させる春のグルメ紀行 /慶北・清道

 きれいな春の花が目と鼻を楽しませてくれる季節。しかし味覚を呼び覚ますグルメ旅行ほど、満足感を得られる旅はないだろう。慶尚北道清道では今、春の香りいっぱいのセリを味わうことができる。特に「セリ・サムギョプサル(豚のばら肉)」が有名だ。サクサクした歯ざわりとセリ特有の香りが豚肉と絶妙な味わいを醸し出し、一気に食欲がわいてくるほどの美味しさだという。美しく咲いた春の花々とともに、雲門寺、華岳山、柿ワイン・トンネルなど、春一色の名所も盛りだくさんのため、4月の清道は五感を満足させるスポットといえるだろう。



◆ハンジェ・セリ・タウン=無農薬栽培で品質認定取得

 ハンジェ産のセリは、華岳山(海抜931.5メートル)の中腹を流れる澄んだ川の水で栽培される。セリはビタミンAとカリウム、カルシウムが豊富に含まれ、五月病など体がだるくなりがちな春、それらの症状を予防するとされている。特にこの一帯は、高級セリの代名詞とされる「ハンジェ・セリ」の産地で、130世帯余りの農家がこの「ハンジェ・セリ」を栽培している。

 静かな農村、平陽里一帯が巨大なセリの街として有名になったのは約20年前。山を流れる川のほとりで摘んだセリを畑に植えたところ、これが思いのほかよく育ち、その後本格的に栽培し始めることになった。特に1990年代初めから村にセリの畑が増え始め、現在は1500カ所余りのビニールハウスでセリを生産している。

 ハンジェのセリは94年、国立農産物品質管理院で無農薬栽培の品質認証を得るなど、品質の面でもその優秀性が認められており、消費者の間でも人気がある。

◆雲門山・雲門寺=一然が『三国遺事』を執筆した場所として有名

 雲門面新院里にある新羅時代に建てられた寺、雲門寺は韓国の代表的な尼寺だ。尼たちが修行をする寺らしく、寺院の庭はきれいに整とんされている。

 寺院の入り口の松林も風雅な趣がある。広い松林は寺を過ぎ、北台庵に向かう渓谷まで広がっている。

 数百人の尼たちが学ぶ四年制の大学でもある雲門寺は、新羅時代の真興王21年(560年)、ある僧侶によって創建された。高麗時代に一然が『三国遺事』を執筆した場所としても有名だ。1958年に仏教浄化運動が起きた後、尼たちが学問をみがく場所として定着した。


 雲門寺で学ぶ尼たちは「一日不作一日不食(働かざる者食うべからず)」という規則を実践している。

 雲門寺を訪れると必ず耳にする音がある。それは「四物(四つの民俗打楽器)」。皮のある畜生たちに真理を伝えるという「法鼓」、水中の生き物を悟りに導くという「木魚」、空を飛ぶ鳥やさ迷う魂を極楽へと導くという鉄製の「雲版」、地獄の生き物まで悟りに導く「梵鐘」をまとめて「四物」と呼ぶ。早朝の祈祷の直前と夜の法会の後(午後5時45分ごろ)、寺の入り口に行くと、2階の鐘閣から響き渡る荘厳な四物の音を聞くことができるだろう。

◆柿ワイン・トンネル=廃線のトンネルをワイン倉庫にリモデリング

 清道は柿の名産地でもある。全国の柿の生産量の30%を占めるほど、清道ではどこに行っても柿の木がある。特に秋になると、それぞれの木に大人の握りこぶし大の赤い柿が鈴なりに実り、壮観な景色をなす。畑作よりも柿の収量の方が高く、清道では日増しに柿の生産量が増えている。清道の柿は「パンシラ」と名づけられている。縦よりも横に長い平べったく、種がないのが特徴だ。


 柿の生産地らしく、柿関連の見どころも多い。清道郡華陽邑松金里の廃線のトンネルにオープンした柿ワイン・トンネルは観光地として人気だ。1904年に完成し、37年に村の下に新しい鉄道が走るまで、京釜線の列車が走っていたトンネルで、廃トンネルと化していたものをワイン倉庫にリモデリングした。

 この地域に基盤を置く企業「清道ワイン」が2004年、世界で初めて柿ワインを発売した。内部の温度が1年中15度というトンネルの中は、天恵のワインセラーそのものだ。トンネルの長さは1045メートル。清道ワイン側はこのうち一部を一般客のための空間とし、残りをワイン倉庫に使用している。入り口には柿ワインやコーヒーが飲めるカフェがあり、トンネルの中で甘いワインの香りに包まれる。

◆アクセス車:京釜高速道路-東大邱JC-寿城IC-清道IC-国道1号、55号線-清道列車:ソウル駅-清道駅(4時間)/ソウル駅-東大邱駅(KTX乗り換え)-清道駅

キム・ヒョンウ記者
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