インタビュー:チュ・ジフン「苦労知らずだなんて…」(上)


 映画『キッチン』でチュ・ジフンがシム・スボンの『愛しか知らない』を歌うと、客席から感嘆の声がもれた。熱いまなざしと甘い声が女心をメロメロにする。ドラマ『宮~Love In Palace』のときは、よく見かける「すい星のごとく現れたスター」だと思った。適度にかっこよく、適度に才能のある、そんな俳優。しかしその後の歩みは少々違っていた。映画デビューは『アンティーク~西洋骨董洋菓子店~』。平凡なロマンチックコメディーで女性をとりこにするような笑顔を見せたわけでもなければ、アクション映画で上着をたなびかせたわけでもなく、アイドルスターが楽に演じられる「ヒットが約束された」作品ではなかった。また、最近公開された『キッチン』も制作費12億ウォン(約7480万円)の低予算映画だ。

 冒険好きなチュ・ジフンにこれまで歩んできた道のり、そしてこれから歩む道について聞いてみた。

◆「貴公子のイケメン? バス代を節約するような時代もあった」

 チュ・ジフンはソウル市江東区千戸洞で一人暮らしをしている。「家事なんて1度もしたことがないのでは?」という質問に、「一時はしたことのないアルバイトはないほどだった」と笑った。

-「温室の花」のように育ったのでは?

 「全然! 子どものことから小遣いをもらったこともありませんでした。両親が共働きだったため、いつも留守番をしていて、食事はラーメンばかりという毎日でした。高校のとき、1日の小遣いは1000ウォン(約60円)。バス代がもったいなくて外出しなかったほどです」

-デビュー前は足りない小遣いをどう補っていたのですか。

 「肉体労働で稼ぎました。そのときの日当が1日6万5000ウォン(約4000円)。喫茶店のアルバイトなんて基本です。河南市の物流倉庫で働いたこともあります」

-最近は生活にも少し余裕が出てきたのでは?

 「いえ、そうでもありません。最初はいろいろ出費が多くて…。まともな服一つ持っていませんでしたから。仕事をしながら少しずつ買い揃えていくのが大変でした。借金も全部返しました。今の家はチョンセ(多額の保証金を預け、月額家賃は支払わない賃貸方式)です。

◆「シン・ミナちゃん? 外で一緒に食事をしたこともありません」

 チュ・ジフンは各作品ごとに相手役と絶妙なコンビを見せる。そのせいだろうか。一時は『キッチン』の相手役、シン・ミナとの熱愛説が持ち上がったりもした。

-(少しにらみつけながら)火のないところに煙は立たないというけれど…。

 「(笑)ミナちゃんはすごくおとなしい子です。お酒も飲めないし。熱愛だなんて…悔しいですねえ。外で一緒に食事をしたこともないのに」

-理想のタイプは?

 「一言では説明できませんが、心が通じ合うのが1番大切です」

-実際の恋愛談を聞かせてほしいですね。

 「一瞬で恋に落ちたことはありません。好感が積み重なって、ある瞬間恋に変わるという感じですかね」

-これまでの恋愛経験は?

 「3回。

最後の恋はいつだったかって?それは秘密!」

チョン・サンヒ記者
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