本当にク・ジュンピョ(原作では道明寺司)は魅力的だと思うか。
「指導力不在の時代、視聴者はカリスマを求めている」「ぶっきらぼうな男がもてる時代相が反映されている」
それこそ一晩で人気スターになったク・ジュンピョ役のイ・ミンホ。それよりもっと驚きなのは、「動く漫画」のようなドラマ『花より男子』の全国民的な人気だ。自分の恋人がこういうヘアスタイルをしたら、きっと他人の振りをするのではないかというような「ク・ジュンピョ」のクリクリヘア。間違っても「童顔」とはいえない長い顔。そして「貴族」にふさわしくない派手なファッションまで、とにかく人気だという。
こうなると、記者や評論家たちは忙しくなる。「ク・ジュンピョの人気の秘密は何なのか」。最近の分析は、「時代があのようなスタイルの男性を求めている」というが、本当だろうか。
実際、ク・ジュンピョのように「ぶっきらぼうな財閥の御曹司」が人気を集めるのはこれが初めてではない。先日、ケーブルの全編再放送をきっかけに、SBSの「再放送サービス」の収入を増やしたというドラマ『バリでの出来事』(2004)。このドラマの主人公、パークスランド・グループ会長の息子ジェミン(チョ・インソン)ほど、わがままなキャラはいないだろう。スジョン(ハ・ジウォン)と初めて会ったときから、そして恋に落ちたその瞬間も、ジェミンはいつもわがままで礼儀知らずだった。ジェミンは完全な「スポイルド・チャイルド」なのだ。しかしこのときも視聴者はジェミンに熱狂した。「このようなキャラクターは初めて。弱々しい人間的な面まで持った御曹司なので親しみがわく」と。
その後、このように予想を裏切るキャラはドラマに登場する御曹司の新しい典型となった。『マイガール』(2005)、『私の名前はキム・サムスン』(05)、『宮~Love In Palace』(06)、『春のワルツ』(06)にも同じようなキャラが登場する。
だとすれば、どうして御曹司なのか。「答えは簡単。スポンサーが付きやすいからです。お金がなければ外車に乗ったり、ブランド物の服を着たり、いいホテルに泊まることはできませんから。キャラクターが歩く広告塔にならなければ、ドラマ制作で収支を合わせることはできません」(外注制作会社の幹部)
御曹司が制作費を得る手段になるとして、どうして「わがままな御曹司」だけが人気なのか。本当は、わがままだからではない。
1994年6月から放送された『愛をあなたの胸に』のチャ・インピョも、イ・ミンホのように、1本ドラマで「一夜にしてスター」になったが、ソウルデパート創業者2世のカン・プンホ(チャ・インピョ)は、決してわがままな男ではなかった。会社に初出勤した日、部下たちに「次長、今夜一杯いかがですか」と声をかけたように、「礼儀」の化身のような人物だった。
今でもこのようなキャラクターは引き継がれている。昨年ドラマ『母さんに角が生えた』に登場した御曹司ジョンヒョン(キ・テヨン)は、どんなに謙遜していたことか。最近放送されたドラマ『ガラスの城』に登場した御曹司キム・ジュンソン(イ・ジヌク)も、礼儀正しい青年そのものだ。ドラマ序盤に「ぶっきらぼうさ」をわずかにのぞかせはしたが、その後キム・ジュンソンに残された「ぶっきらぼうさ」といえば、あごひげくらいしかない。
だから結論は、韓国ドラマの中に「ぶっきらぼうさ」「礼儀正しさ」という大きな二つの軸があるだけで、視聴者はただ御曹司が登場するドラマを楽しんでいるだけということになるだろう。
視聴者はよく、「韓国ドラマにはどうして財閥の御曹司ばかりが登場するのか」と抗議し、「女性は皆ファンタジーが好きだと思っているのか」と、ドラマ企画者たちの「反フェミニズム的」な傾向を批判する。
しかし視聴率が一つの物差しになるとすれば、表面上、女性視聴者たちは「金持ちの男」が好きな傾向にある。もちろん、その理由はそれぞれ違う。「あり得ないことだとあざ笑いながら見ている」「子どもでもあるまいし。ただ笑って見ているだけ」など。しかしそれがイケメンでもそうでなくても、わがままでも礼儀正しくても、視聴者は「金持ちの男」が好きなのを否定することはできないようだ。
ああ、この「罪深き喜び」よ!