『憎くても可愛くても』は、2007年の週間視聴率ランキングドラマ部門にて19週連続1位、最高視聴率44.2%、平均視聴率35.4%という驚異的な数字を上げた大ヒットドラマ。俳優キム・ジソクは、このドラマで初主演を務め、親しみやすいキャラクターで一躍人気者となった新進スターだ。
キム・ジソクの名を知らなくても、カン・ベコという役名は皆が知っている、という現象が起こるほどヒットした『憎くても可愛くても』。全172話が終わるころには、キム・ジソクの名も広く知られることになった。そんな彼にインタビューした。
-『憎くても可愛くても』のカン・ベコ役はどうやって射止めましたか。
「普通ならオーディションとかミーティングとかで決まるんですが、突然監督に呼ばれたんです。『ひとまず走れ』(MBC 2006年)で監督さんが自分の可能性を見てくれていたそうで、やらないかと。監督の気が変わると困るので、即答でOKしました(笑)」
-大変な人気を博しましたが、どう思いましたか。
「視聴率のことは全然考えていませんでした。若者、中年、嫁しゅうとなど家族のさまざまな愛の形を描いたドラマなので、多くの方の共感を得られたのだと思います。撮影は9カ月に及びました」
-長丁場で苦労したことは何でしょうか。
「とにかく172話と長いので、ともするとルーティーンな行動になってしまう。計算的に準備をしたり、マンネリに陥りそうになったことも正直ありました。また、ベコはせりふが多いのに台本が遅かったり…いろいろありました(笑)。最初の30話ぐらいで100%を出すべきか、それとも、前半、中盤、最後と力の入れ具合を分けたほうがいいのか、悩みました。とにかく、あきられたら困るので(笑)うまくいったんじゃないでしょうか」
-カン・ベコはどういうキャラでしょうか。ご自身と似ていますか。
「カン・ベコは家族愛が強い人間なんです。最初はプーなんですが、自分というものをちゃんと持っていて、愛する人に出会いながら変わっていく。健康的で、楽観的で、親近感を持たれるという点では自分と似ていると思います」
キム・ジソクの姿には、9カ月に及ぶ長いドラマの中、さまざまな悩み、葛藤(かっとう)の中、自分なりの答えを見つけてやり遂げた自身のようなものが感じられた。同時に、それを乗り切った彼自身の「健康で、楽観的で、親近感の持てる」人間性もにじみ出ていた。
野崎友子