「間違った質問ばかりするのだから、きちんと答えられるはずがないじゃないか!」
何の理由もなく15年間監禁された男の質問に、平然とこう答えた映画『オールドボーイ』のイ・ウジンを最高のキャラクターに仕上げた俳優ユ・ジテ。全く違うイメージでテレビドラマに挑戦状を突きつけたユ・ジテに会った。
ドラマ『スターの恋人』(SBS)で、愛する女性イ・マリ(チェ・ジウ)に優しくほほ笑むキム・チョルスのように甘いだろうか、それともイ・ウジンのように冷たいだろうか。
多数の作品を通じて、独自のフィルモグラフィーを築いているユ・ジテ。彼に今の「俳優ユ・ジテ」はどんな人物なのかを聞いてみた。
まずユ・ジテのドラマデビュー作『スターの恋人』は、他人の基準によると、さほど成功といえる結果を得ることができていない。視聴率は10%前後だった。ユ・ジテにとってはどうだろうか。
「初めてのドラマだからか、視聴率が何なのかあまりピンとこない。視聴率5%が500万人だというが、僕が主演した映画17本中、最もヒットした作品の観客動員数が350万人だ。それなら、5%でもドラマを見てくれているなら、僕は彼らの前でいい加減な演技をすることはできない。何より視聴率は、僕の演技哲学にはないものだ。最善を尽くすのが優先だ」
ユ・ジテには視聴率という物差しが分からない。評価は大衆がすること。ユ・ジテが俳優として最も重要視するのは、まさに厳しい条件の中でも「自分に負けるな」「どんな難関にぶち当たっても勝ち抜こう」という心意気で、後悔のない演技をすることだ。
「台本ができたのが遅かったせいで…」とほかの誰かのせいにする人もいるが、俳優を目指すユ・ジテには「自分との戦い」が一番重要だ。
「くだらない考えはしないほうがいい。1、2回演技するのではないのだから。僕がすべきことは『スターの恋人』でどうしたら上手く演じられるか、発音が上手くできるか、新しい演技を見せられるか、そういうことに悩むことだ」
そのためユ・ジテにとって『スターの恋人』は満足のいく作品だ。しかし、たびたび低視聴率のため士気が落ちるスタッフたちを見ると胸が痛い。
「初めてドラマを撮ってみて分かったのが、ドラマは成功と失敗を味わいながら撮影しなければならない難しさがあるということ。
僕は大丈夫だが、周囲の人々が大変そうな姿を見ると、彼らの力になりたいと思う」