チョン・イル「女っぽいのも僕の個性


 シチュエーション・コメディー『思い切りハイキック』で「ケンカ上等」の高校生役を演じ一躍人気者になった俳優チョン・イル(21)。しかし、彼に本当に演技力があるかどうかは、「検証を猶予されている」状態だった。不正確な発音や中途半端な表情の演技など、いろいろと「すき」が多かったが、シチュエーション・コメディーの若手俳優に厳密な批評の物差しを当てようという人はほとんどいなかった。

 そんな彼が今、厳しく審判される場に立った。MBCドラマ『帰って来た一枝梅』で主人公の一枝梅役を演じることになったからだ。一人でストーリーを率いていかなければならない孤独な立場。幸い、放映されたドラマの序盤部分は視聴者の反応がいい。21日にスタートしたが、第1話と第2話の視聴率は17-18%。チョン・イルは「まだ一枝梅が成長する過程なのに、予想外に関心が高くて驚いています」と話す。

 「しばらくバタバタと落ち着かない感じでした。『思い切りハイキック』でみんなに知られるようになったのに、気がついてみると僕には何もないんじゃないか…という不安がありました。何かしなければならないのに集中できなくて…。まだ僕は俳優として一定の地位を築いていない状態だということは分かっています。だから僕にとって『一枝梅』が持つ意味は深いんです」

 「両親が“命がけでやりなさい”と励ましてくれました。僕も100%同感です。俳優として新たなキャリアをスタートするという気持ちです。7カ月前に撮影を始めたときは、監督に何回も怒られました。“チョン・イル”を捨てられなかったからだと思います。今は、少しだけですが認めていただいています。“イルはいろいろな経験をして、一枝梅という役を完成しつつあるようだ”って」

 はっきりせず、もごもごとした発音は今も悩みだ。

 「『思い切りハイキック』を撮影していたときは、僕が聞いてもちょっとひどかった。気がせいて早く話そうとして、舌がもつれていたみたいです。口の中の構造は問題ありませんから」

 『花より男子』(KBS第2テレビ)で一躍スターになったイ・ミンホの話が出た。二人はこの旧正月に会い、食事をしたという。

 「僕が『思い切りハイキック』に出演していたころ、ミンホは入院していたので、申し訳ない思いでした。最近はよく電話をして、お互い励まし合っています」

 親友の演技について、冷静に評価してほしいというと、「僕はそんな立場にありません」と首を振りつつ、「第1話では全体的に演技のトーンがちょっと硬かった感じ」としっかり指摘した。

 「だから、初回を見たとき、すぐミンホに電話しました。“プレッシャーを気にせず、楽な気持ちでやれよ。視聴率が低くてもいいじゃないか”って」

 チョン・イルは一枝梅役を演じるため、7-8㎏減量した。『思い切りハイキック』撮影中に同年代の友達と夜食べ歩き、重くなりすぎた体重を元に戻すためだ。また、中性的な魅力を持つヒーロー・一枝梅を演じるためにも、シャープな体や顔は不可欠だった。「女っぽい顔のライン」は一枝梅役に抜てきされた理由の一つだが、本格的な「ヒーロー」を演じるには、マイナスになる可能性もある。「コンプレックスではない?」と尋ねると、チョン・イルは「もちろんそうですが、それも僕の個性です。いい面として受け止めてくださるので、ありがたいです」とたくましく答えた。

チェ・スンヒョン記者
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