メディア露出を極力控えるプロモーション戦略をとるスターたちの方向性が二手に分かれ始めた。一つは大衆の前に歩み寄り、もうひとつは、相変わらずベールに包まれたスターとしての魅力を維持する従来のやり方だ。チョン・ジヒョンの携帯電話の内容が不正にコピーされた事件と、コ・ヒョンジョンの『黄金漁場』の人気コーナー「ヒザ打ち道士」出演は、メディア戦略の方向性の違いを雄弁している。
■現状維持派=メディア露出を極力控えるプロモーション戦略
チョン・ジヒョンは今回、携帯電話の内容が不正コピーされた事件を通じて、メディア露出を極力控えるプロモーション戦略が一瞬で落とし穴になりうることを示した。
ベールに包まれた彼女の私生活を知るため、所属事務所までもが携帯電話コピーを指示するという皮肉な結果を生んだ。「デビューのときから今まで映画やCMで、不動のトップスターとして君臨。しかしチョン代表をはじめ、極少数の事務所スタッフや仲間以外、一切外部との接触を控えてきたチョン・ジヒョンの性格や、事務所の徹底したマーケティング戦略がぴったり一致し、誰より窮屈な生活をしてきたという証拠ではないか?」という解釈だ。ある関係者は「デートをしたり友達と遊ぶ年ごろなのに、誰かとクラブやワインバーで一緒にいる姿を目撃した人さえいない。事務所が知らなければ全て分からないこと」と証言した。
同じ事務所のチョン・ウソン、チャン・ヒョクらと親しいという話は出たことがあるが、本音を打ち明けるほど親しい芸能人の友達はいないという。チョン・ジヒョンの自宅近所の商人たちも「わたしたちは(チョン・ジヒョンが)ここに住んでいると聞いたが、姿を見たことがない」と、彼女の徹底した自己管理を裏付ける証言。同様のプロモーション戦略をとることで有名なのが韓流スター、ペ・ヨンジュンとイ・ヨンエ。国内外の高い関心にもかかわらず、これといったスキャンダルもなく、トップの座を守ってきた自己管理面で彼らの右に出る芸能人は少ない。ペ・ヨンジュンは『太王四神記』で、2007年と2008年年末の演技大賞授賞式に出席し、大衆との距離感を少しは縮めた感じだが、相変わらず私生活はベールに包まれている。イ・ヨンエも昨年9月、ドキュメンタリー番組『MBCスペシャル』の「わたしはイ・ヨンエだ」を通じて、日ごろの姿を見せてくれたがそれっきりだ。
■積極露出派=プロモーション戦略を大幅見直し
しかし一部の芸能人は、果敢に世界の外に出ている。
最近、最も目立つスターがコ・ヒョンジョン。昨年末、芸能スターが大勢所属するDYエンターテインメントに移籍した彼女は、ラジオ番組に相次いで出演し、大衆との距離感を縮めた。そしてついに最も大衆的な芸能番組、『黄金漁場』の人気コーナー「ヒザ打ち道士」に出演、大衆に親しみやすいトップスターへの転身に成功した。「永遠のナンバー2」という告白からスキャンダル、整形疑惑についても正直に認める姿を見守った多くの視聴者たちが彼女に好感を抱いた。
ドラマはやらず、映画にだけに出演してきたチョン・ウソンもまた『パク・ジュンフンショー! 大韓民国日曜日の夜』(KBS第2)の出演に続き、ケーブルチャンネル「オンスタイル」の『チョン・ウソンのプロジェクトJ』にも出演するなど、個性的な魅力をアピールしている。
ソテジは昨年復帰し、番組出演、ゲリラコンサート、コミカルなコンセプトの移動通信CM出演などを通じて、少しの間だが自分を取り囲むオーラを果敢に脱いで見せた。
■彼らはなぜメディア露出を極力控えるのか
メディア露出を極力控えるプロモーション戦略の長所と短所は明確だ。俳優としての謎に包まれた魅力を維持することができるため、CMスターとしてのブランド価値を維持する面では有利な点が多い。CMスターの地位に上がった多くの俳優がこのようなプロモーション戦略を選択するのはこのような理由からだ。極少数の韓流スターの場合、国内外の多くのファンの関心の中にいるので、スターとしての生命力を長く維持するため、不本意ながらメディア露出を極力控えるしかないジレンマがある。
しかし、大衆との距離があまりにも遠くなるのは、人気商売の俳優としてはジレンマでもある。殻に閉じ込められて生活する場合、大衆との疎通不足によって人気の実体はむしろ消える恐れがあるという盲点がある。シャイな性格ならまだしも、マーケティング戦略の一環であるとすれば、スター個人の苦悩も大きくなる。また若いころからメディア露出を極力控えると、温室の中の草花のように育てられ、長期的には競争力を削ぐ可能性も一部で指摘されている。
韓流スターが多数所属する某事務所関係者は「俳優の性格を把握し、メディア露出を極力控えるプロモーション戦略が合うのか合わないのか、きちんと分析して決めることが、事務所と俳優の双方にプラスをもたらす関係になる近道だ」と説明した。