不況の中、芸能界でも「格差」が拡大しつつある。
歌手を多く抱える大手芸能プロダクションに所属する芸能人たちは、不況の中にあっても好調が続いている。だが、それ以外の芸能人たちは厳しい状況が続き、ため息が止まらない。SMエンターテインメント、YGエンターテインメント、DSPエンターテインメントなどの大手プロダクションに所属する歌手たちは、ドラマや映画、司会、ラジオ番組のアシスタントなどにも進出し、幅広く活躍しているが、一方で中小のプロダクションに所属する芸能人たちは活躍の舞台がなく苦戦が続いている。
2009年の正月は、韓国を代表する大手プロダクション、SMエンターテインメントに所属する女性アイドルグループ、少女時代の活躍ぶりが際立った。まさに絶頂期にあるといえるだろう。
少女時代はカムバックと同時に、『ミュージックバンク』(KBS第2テレビ)と『人気歌謡』(SBS)でランキング首位に立った。昨年にもワンダーガールズ、ブラウンアイズガールズなどの女性グループが脚光を浴びたが、これほどの勢いではなかった。多くの人気スターたちが昨年末を最後に活動を中止し、競争相手がいない状況にあるとはいえ、少女時代の人気ぶりは予想を超えるものだ。とりわけ、KBS側との確執で出演すらしなかった『ミュージックバンク』でトップに立ったことは、最近の少女時代の人気ぶりを端的に示すもので、注目に値することだ。
大手プロダクションに所属するスターたちの好調ぶりは、歌謡界だけに限られたものではない。
人気ドラマでも、大手プロダクションに所属するスターたちの活躍が光っている。ソン・スンホンなど、すでに実力を認められたスターたちは別として、ドラマ『エデンの東』(MBC)のイ・ヨニ、『花より男子』(KBS第2テレビ)のク・ヘソン、キム・ヒョンジュンなどは、好調なプロダクションのバックアップを得て、快進撃を続けている。
イ・ヨニはドラマデビューを果たした当時、演技力を疑問視する声が相次いだが、引き続きドラマに起用され、大役をこなしている。『花より男子』のク・ヘソン、キム・ヒョンジュンもまた同様だ。ク・ヘソンはこれまで多くのドラマで主人公を務めてきたものの、久々に新人同然のような感覚で自らの魅力をアピールしている。キム・ヒョンジュンもまた、カリスマ性あふれる魅力で視聴者たちの心を掴んでいる。
大手プロダクションに所属するスターたちが快進撃を見せるのは、何も昨日、今日のことではない。だが、最近の大手プロダクションに所属するスターたちの快進撃は、歌手を多く擁するプロダクションに集中しているという点で、これまでにはなかったものだ。歌手専門のプロダクションが俳優の育成にも積極姿勢を見せているようだ。これは変化が激しい芸能界の環境とも密接な関連がある。歌手専門のプロダクションは、マニアックなファンが多い未成年のアイドルたちを大量に確保しており、こうした点がまさに、不況にあえぐ芸能界での快進撃につながっているというわけだ。
不況であればあるほど、忠誠度が高いマニアたちが威力を発揮する。また、俳優を中心とした大手プロダクションは、映画産業の低迷や、ドラマの制作会社の倒産などで力を発揮できずにいるということも、現在の状況につながる一つの要因になっている。
だが、日なたがあれば日陰もあるものだ。大手プロダクション以外の一般のプロダクションに所属する芸能人たちは活躍の場を見出せないのが実情だ。数日前には映画俳優のキム・ソッキュンが、無名俳優であり続ける現状に耐えきれず自殺するという悲劇まで起こった。芸能界における貧富の格差の拡大の深刻さを物語る象徴的な出来事だけに、複雑な思いを新たにする。
ユン・ギョンチョル客員記者
OBS京仁テレビ『独特な芸能ニュース』『ユンプロデューサーのザ・インタビュー』プロデューサー