【インタビュー】チョ・インソンが目指す俳優像とは(上)


 俳優チョ・インソン(27)の悩みはこれまで彼が見せてきた演技の幅より広く、そして深い。美しい顔をしているが、思慮深く、そして独特の語り口も魅力だ。華やかなスターとしてのオーラに包まれていたが、人間チョ・インソンの言葉は素朴で慎重だった。

 186センチという長身にもかかわらず、大きすぎない肩幅、長い手足、線の細い美しい目鼻立ちは、未成熟な肉体を持つ思春期の少年のような雰囲気を漂わせている。多少高いトーンの声と照れくさそうにほほ笑む表情、時に敏感に反応する目も少年のようだ。しかしチョ・インソンとの対話は、テレビや映画の中で見慣れたイメージに加え、第一印象さえ気持ちよく「裏切る」ものだった。

 期待していなかった単語が次々と彼の口から飛び出し、予想していなかった方向に会話が進んだ。ブランドやメディアは絶えず「チョ・インソン」の記号化を試みているが、チョ・インソンは自分のイメージの中にとどまろうとしなかった。昨年12月、デビュー7年目の俳優チョ・インソンにインタビューした。

 チョ・インソンは1度も「いい俳優になりたい」とは言わなかった。ただ誓うように「いい大人になりたい」と数十回繰り返した。「チョン・ウソンのようなかっこいい男になりたかったから俳優になった」チョ・インソン少年は、現在自分の完成を追求する思慮深い青年になっていた。華やかだが浮き沈みの激しい芸能界。チョ・インソンは人知れず自らを鍛えていた。それが俳優としての自分の過去より未来を信頼する理由だ。いい人間になりたいと願う熱望こそ、立派な俳優を目指す自分を前に進める最も大きな原動力になる。そしてユ・ハ監督の映画『霜花店』はチョ・インソンの20代最後の証しになるだろう。チョ・インソンは3月に軍隊への入隊が予定されている。

―ドラマ『バリでの出来事』と『春の日』、映画『卑劣な通り』では泣く演技が印象的でした。少年のように傷つき、嗚咽する姿はチョ・インソンさんのファンに一番好まれるイメージではないですか?

 「可哀想に見えるから惹かれるってことなのでしょうか? でもその一方で、泣く姿が商品化するのではないかと心配にもなります。自分としてはドラマに最善を尽くした結果なので、むしろそのイメージだけが強調されることで作品に悪影響を与えていないか、観客や視聴者にとってドラマ全体に集中する上で妨げになっていないか、と考えることもあります。俳優の立場としては、泣きながら感情を爆発させることに快感を感じます。でも今回の『霜花店』ではそんな風に感情を爆発させたり、かっこいい姿を見せるというよりは、憂鬱な雰囲気が体に染み込んだ、暗く重い雰囲気の演技をしなければなりませんでした。実際、私が演じた「ホンリム」は、能動的にほかの人達をリードする役ではなかったからです。受け身で、引っ張られていくタイプの男なんです。リアクションだけのキャラクターといった感じです。白でも黒でもない灰色の地に立っている男です。演じる上では何かやり残した感じがありました。そんなシーンの集合でホンリムという人物を完成させなければなりませんでした」

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