芸能界に限らず、規模が大きければいろいろと有利なことは多い。経済分野で言えば、大量生産は大量販売につながる可能性が高いだけでなく、大企業や大手流通会社などは技術力・流通力でも優位に立ち、最大限の収益を生む。
こうした現状において、中小企業が生き残るカギがあるとすれば、それは技術力だ。すばらしい新技術さえあれば、いくらでも大企業に対抗できるというのが経済の論理だ。同様に、芸能界でもすばらしい新人が登場し、芸能事務所全体を背負って立つケースがある。昨年末と今年初めにすい星のごとく現れたパク・ボヨンとイ・ミンホは、まさにそうした新人だ。
ドラマ『花より男子』(KBS第2テレビ)のイ・ミンホは、新人ながら同時間帯の人気ドラマ『エデンの東』(MBC)を脅かすほどの人気を呼んでいる。
「一夜にしてスターになった」という言葉を地でいくイ・ミンホだが、F4のリーダー、ク・ジュンピョ(日本の原作漫画では道明寺司)役を演じる前は、存在すらよく知られていない俳優だった。ところが、同ドラマに出演してからは、各ポータルサイトの検索語ランキングで上位に名を連ね、1日10万人が彼のミニホームページにアクセスしている。
イ・ミンホがスターダムにのし上がったのには、いろいろな意味がある。2006年にEBSドラマ『秘密の校庭』でデビューしたが、交通事故に巻き込まれ1年間を棒に振った。それから復帰してSBS『走れ!サバ』で初主演を飾ったものの、打ち切りになるという屈辱を味わった。その後、KBS第2テレビ『アイ・アム・サム』、映画『カン・チョルジュン:公共の敵1‐1』『うちの学校のET』などにも出演したが、注目されなかった。そんなイ・ミンホが、今はCMの出演依頼だけで数十本、さらに次回作のオファーも来ているという。一言で言えば、「大当たりの最優良株」になったわけだ。
パク・ボヨンの存在も意外だ。『スピードスキャンダル』でハチャメチャなシングルマザーを演じたパク・ボヨンは今、各人気ランキングでトップを走っている。飛び抜けて美しいというルックスではないが、キュートな魅力を前面に押し出し、同世代には親しみを感じさせ、年上のファンからはひたすら愛されるスターとして急成長している。
二人の強みは、息の長い俳優・女優になる可能があるということ。芸能事務所の能力や企画力により左右されるスターではなく、自生力を持っていることがプラス評価されている。
何よりもまず、二人は抜群の演技力を持っている。『花より男子』でイ・ミンホが注目を浴びている最大の理由は、彼が主人公の一人であるというのもあるが、彼ならではの演技力でドラマをリードしているからだ。撮影した日の夜にすぐ放送されるというギリギリのスケジュールが連日続いているが、イ・ミンホの演技からは疲れやストレスが全く感じられない。長年の無名時代で磨かれた謙虚さと演技哲学が生きているのだ。
パク・ボヨンも『スピードスキャンダル』で演技を認められた。とんでもないシングルマザーという役を演じながらも、「いつの間にこんなことまでできるようになったのか」と思わせる涙を誘う演技をこなし、歌も歌えることから、ハイティーン世代の女優としてはムン・グニョン以来最高の「当たり女優」といわれている。
専門家らは「イ・ミンホやパク・ボヨンの魅力は変化が自由自在だということ。大手芸能事務所に頼らず、自分自身の演技色をしっかり持っているから、二人の将来は期待できる」と話している。
ユン・ギョンチョル客員記者
(OBS京仁テレビ『独特な芸能ニュース』『ユンPDのザ・インタビュー』プロデューサー )