インタビュー:ソン・ジヒョ「『霜花店』は苦難の道のりだった」


 ソン・ジヒョは映画『霜花店』(ユ・ハ監督)で、高麗王(チュ・ジンモ)の夫人を演じた。ソン・ジヒョが演じる高麗王の夫人、つまり王妃は元(げん)の王女だった。元は高麗を属国にしていたので、王妃の権力は王を上回っていた。

 しかし王は王妃を抱かなかった。王は王妃の代わりに、自分を保護する護衛武士ホンリム(チョ・インソン)を愛した。王妃は自分を愛していない王に耐え忍び、王の愛を受けているホンリムを憎んだ。

 ユ・ハ監督は、王が主導したホンリムと王妃の「代理ベッドイン」シーンを通じて、人物間の破滅を触発させる。その破滅はホンリムを通じて、男性の体と心を愛すようになった王妃の「自覚」が出発点だった。

 23日、ソウル市鍾路区三清洞のあるカフェで、ソン・ジヒョに会った。ソン・ジヒョは自分が演じた王妃をどう考えているのか、一番先に気になった。

 「王妃はとても寂しいのに、誰にも頼ることができない女性です。威厳と権威で自分を隠していますが、実際はとても空虚な人生を生きている女性です。その女性がホンリムを通じて本当の愛を知り、王妃以前に女性として変わっていく過程が『霜花店』の重要なモチーフの一つでした」

 ソン・ジヒョは憎んでいた対象を、ある瞬間から愛すようになった王妃の心理変化に共感はしたが、それを表現するのは簡単ではなかったという。しかもユ・ハ監督は、王妃の劇的な心理変化を目つきだけでなく、男性を通じて感じる体で表現することを望んだ。

 「『霜花店』での情事シーンは、物語を解いていく重要な糸口になるため、人々の関心はある程度予想していました。しかし、いざ撮影をするときには、体のどこがどのぐらい見えるのかより、激情に溺れる王妃の心をどうやって表現すべきかに、多くの神経を使いました。王妃の心理表現、それがいつも一番大きな悩みでした」

 ソン・ジヒョは女優としては、勇気でもあり飛躍となる一方で、不評にもなりうる情事シーンについて、「既に撮影を終えた状況なので、後悔はしていません。『霜花店』のシナリオをもらい、誰よりも王妃役を演じたいと思いました。その王妃の心理をわたしの演技で、観客たちがどれだけ理解し、共感するのかが実際はもっと心配です」と語った。


 それなら、実際のソン・ジヒョと劇中の王妃にどれぐらいの共通点があるのか? 役柄と実際の性格で、重なる部分があるのかを聞いた。ソン・ジヒョは王妃と自分の似ている点を探すよりは、“寂しさ”への対処法が違うという話で、役柄と本人の違いを説明した。

 「王妃のように、寂しさを感じながらも心で消化させるというよりは、他のものを探そうと努力する方です。衝動的に旅行に行ったり、書店に行って本を買ったり。衝動的に自転車に乗ったり、そういう風に寂しさを解消します」

 そう打ち明けるソン・ジヒョの日常は平凡だった。帽子を目深にかぶって、家の近所の湖公園を自転車で走ったり、あるいは町内の書店に行って本を買ったり、バスに乗って江南にある所属事務所まで行ったりするというのだ。

 『霜花店』が公開すれば、映画を見た観客たちは各々の基準で映画についての評価をし、その感じたことを話し合うはずだ。最後、ソン・ジヒョに『霜花店』という映画は、どんな意味を残すと思うか? と聞いてみた。

 彼女の言葉によると、『霜花店』は女優ソン・ジヒョに苦難と険難、この全ての辛い道のりが続いた山のようだという。映画の撮影を終えたので、大きな山を一つ超えたようだと彼女は話す。もちろん山から下って後ろを振り返ってみると、その充実感は、全て言葉で表現することができないぐらいに大きかったようだ。

 「第一歩を踏み出す瞬間から、最後の一歩を離す瞬間まで、ずっと峠でした。一度も行けなかった山だったので、疲れもあり、焦りもあり、緊張感もありましたが、全てのことを超えた後に味わった充実感は…。

他の作品では簡単に味わえない貴重な経験をしました」

キム・ヨンウン記者
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