インタビュー:イ・ジョンジェが語る演技&恋愛観(上)

 暖かい冬の日差しが心地いい夕方すぎ、イ・ジョンジェとソウル光化門のとあるバーで会った。12月3日に公開された映画『1724妓生置屋乱闘事件』の反響が大きいためか、久しぶりにスクリーンに帰ってきた彼は最高級ワインを味わう前のように、真剣ながらもわくわくしている表情だった。映画界でもよく知られるワイン愛好家のイ・ジョンジェが選んだのは「マスケル・デ・リスカル」。重いながらも澄み渡る感じが、ソフトながらも強いイ・ジョンジェと似ている。いつの間にかデビュー15年目。華やかなスポットライトを浴びる裏で、苦労したこともあったはず。しかし歳月の厚みとともに積み上げてきた知恵と余裕は、彼をさらに謙虚にさせた。トップの座にいてもまだなお、「まだ学ぶべきことが多い」と言う俳優イ・ジョンジェ。暗闇に包まれつつある光化門を見下ろしながら、彼の香りいっぱいの話を聞いた。



◆『1724妓生置屋乱闘事件』は南アフリカ産風味、「アクションコメディー」の独特で多彩な味

 あえて『1724妓生置屋乱闘事件』をワインに例えてほしいと頼んでみた。「う~ん、ちょっと迷うな」と前置きするも、イ・ジョンジェはすらすらと答えた。「4次元とでも言いますか。南アフリカワインのような感じです」。このワインはアフリカの土壌とヨーロッパの醸造技術がもたらした特色ある味を誇っている。

 このように、同作は独特で多彩な味を誇る。精巧に整えられているというよりは、誇張されたアクションとコメディーで、独特で多彩な見どころが満載ということだ。

 同映画でイ・ジョンジェが演じたチョンドゥンは、ソウルの麻浦通りで知られているやくざ。偶然巨大組織ヤンジュ組のボスになった彼は、恋心を抱いてきた妓生(キーセン=芸妓)のソルジ(キム・オクビン)をめぐり、マンドゥク(キム・ソクフン)と対決を繰り広げる。

-“ダンディー・ガイ”と呼ばれるイ・ジョンジェはどこに行ったのか。演技にすごくリアリティーがあるが、もしかして学生時代に似たような経験をしたのではないか。

 「ハハハ。殴られてばかりはいなかったような感じですね」

-リハーサルを2カ月もしたそうだが、新人のように基礎からさせられたのではないか。

 「わたしから提案しました。ヨ・ギュンドン監督は、1994年に青龍映画賞新人男優賞を受賞した演技派俳優じゃないですか(笑)。週単位でトレーニング方法を変え、発声練習や厳しい訓練をしました」

-監督の外見から推測すると、現場ではかなりタフそうだが。

 「監督は演技経験が豊富なので、俳優の心理をよく分かっています。監督はマッチョですが、むしろ小心者のA型に近かったと思います。あ、映画の前半で、チョンドゥンと対決するヤンジュ組の組員として出たんですが、自分の演技にかなり満足してましたね。わたしが撮影のやり直しを要求したら、“これぐらいなら十分だ”と断られましたから」

-新人からベテランまで、さざざまな監督に会ったと思うが、監督の要求が負担に感じることはないか。

 「監督ともめたことはありません。わたしが監督を説得することもあれば、逆に監督から説得をされたり。ダメなことをしきりに要求すれば、俳優は委縮して、(演技ではなく)マネだけするようにります。だからリハーサルを何度もしようと言います。こうしたりああしたりしながら、うまく調整していこうという意味です」

-相手役の俳優とはよく考え方が合うか。

 「言いたいことはすべて言います。でもわたしが会話をする目的は至って簡単です。お互いうまくやろう、最善の結果を
出そうということです。そしていつも、自分はまだ足りないという考えを前提にしてます。演技欲には終わりがないからです」

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