―それでも俳優は好き?
「作品に出ることで“代理満足”という快感が得られる。資本主義社会では、僕だけじゃなくて広告主も、僕自身がやったことに対して責任を負わなければならないから」
―最近出演したコーヒーのCMは、ホラー・バージョンのパロディー映像も作られた。
「パロディーには“尊敬”の意味もあると思う(ひょっとして“オマージュ”では?と聞くと、“パロディーで合っています”と答えた)。ある人がCMの音楽だけを変えて、僕を“サイコパス(精神病質者)にした。でも、それによって僕の中の新たな一面を発見できたような気がして、かえってうれしいくらい。映画を撮っている合間にCM撮影を行ったが、ホンリムの鋭い目がCMにも出ていたようだ」
―この映画で、ホンリムの感情は激しく高ぶる。復讐(ふくしゅう)心から、王に剣を突き付けてしまうほどに。
「この映画の一番重要なキーワードは愛。自身のアイデンティティーに気付いていなかったホンリムは、言われるがまま王の代わりに王妃と夜を共にし、自身のアイデンティティーを見いだし、成長していく。ベッドシーンでも体位の種類や欲情をそそるような姿よりも、感情に重点を置いたほど、感情の動きに忠実な映画だ」
―映画の主人公のように、三角関係のような愛やジェラシーを感じた経験は?
「僕は典型的なメソッド演技者だ。だから、僕自身が投影された部分が多くなる」
―来年1月には入隊が控えている。除隊するころには30歳だ。
「カネ・名誉・職業・夢…こういったものに対する混迷・苦悩・葛藤(かっとう)・責任感に悩む時期だ。“メンター(優れた助言者や相談相手)”よりも“ソウル・ティーチャー(心の師)”や“ソウル・メイト(心の友)”を通じて気持ちを引き締めている。友達まで入れると、5-6人くらいいる」
―難しい言葉をよく使うが、話すときはもともとこういう感じ? 本をたくさん読んでいる?
「最近は活字に親しもうと努力している。セリフを理解するには不可欠な作業だ」