インタビュー:枠から抜け出したチョ・インソン(上)


 チョ・インソンは2006年夏に公開された映画『卑劣な通り』で三流のチンピラになった。そして今年末に公開予定の映画『霜花店』では、王の愛を一身に受ける美しい護衛武士の役を演じる。

 設定だけ見てもまったく違う二つの作品は、ユ・ハ監督とチョ・インソンによって一つに重なる。『卑劣な通り』がイケメン俳優のイメージを覆す作品だったとすれば、『霜花店』はイケメン俳優のファンタジーを極大化した作品だ。真面目なイケメン俳優というイメージが影のようについて回ったチョ・インソン。デビュー10年目の彼は、そのような認識から抜け出し、再び方向を変えてその中心に向かって突進した。

 「枠から抜け出してみたかった」と繰り返すチョ・インソン。「息苦しかったからか」という質問には、「もっと自分を多様化させたかった」という答えが返ってきた。『霜花店』のベッドシーンやヌードなどが連日話題になっているが、「混沌の時期」に陥っているという27歳の俳優が、軍入隊を前にした20代最後の作品で証明したかったのはほかでもない、「一つの可能性」だった。

-映画の公開を待つ気分はどうか。ファンの期待も大きいようだ。

 「僕も楽しみ。今は不安や心配もあるけど、ワクワクする」

-最近、バラエティー番組『無限挑戦』(MBC)に出演したようだが。

 「自宅のすぐ近くで撮影をしていたので、ちょと顔を出しただけ。起きてから20分ぐらいしかたっていなかった。チョン・ジュナさんから電話がかかってきたのだが、その横で『無限挑戦』に出演しているノ・ホンチョルさんの声が聞こえてきた。個人的にうれしかった。あまり出歩かない性格だし、一度は(バラエティーに)出てみたかったので、こういうチャンスもあるんだなと(笑)。断れなかったもう一つの理由は、ユ・ジェソクさんのため。皆さんもご存知のようにとても謙虚な方なので…。僕より先輩なのに『本当に失礼でなければ』『もしよろしければ…』と言われてしまったので、到底断ることができなかった」


-とてもユーモラスな雰囲気だった。

 「本当の僕はあんな感じ。どんな姿を見せようかと考えてやったことではない。幸い『無限挑戦』のメンバーが僕を好意的に見て下さったので、ああいう行動も無理なくできた。ありがたく思っている」

-『霜花店』のシナリオを待っている間、ほかの作品には見向きもしなかったと聞いているが。

 「それは『 霜花店』に対する礼儀だと思ったから。出演を決めて準備しているのに、ほかの作品に出演したくなったら自分も辛くなるので、最初からそういう可能性をなくそうと思った。一種の義理でもあり、縁起を担ぐようだが、そういう配慮が映画の運命を左右するような気がした」

-『卑劣な通り』で主演男優賞を獲得した。プレッシャーは?

 「僕は持っているものがあまりにも少ない。それ以上のものを求められているようで怖くなることもある。やっと27歳になったばかり。まだ学ぶべきことも多く、感じるべきこともたくさんあるのに、早くも俳優としての評価が下されてしまうようで怖かった。うまくやりたいという欲がある。僕は生まれつき才能のある俳優ではない。

少しずつ積み重ねてきたものが表情ににじみ出るようにしたい」

キム・ヒョンロク記者
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