インタビュー:ダニエル・ヘニー、米進出を語る


 ハリウッド進出に最も魅力ある条件を兼ね備えた俳優を挙げるとすれば、やはりこの男だろう。ダニエル・ヘニー(29)。英国系の父と韓国系の母の間に生まれ、米国ミシガン州で育った。ダニエル・ヘニーのアイデンティティーに関してはさまざまな意見があるが、ほとんどのファンは応援する気持ちでこのハンサムな俳優のハリウッドデビューを待ち望んでいた。

 ダニエル・ヘニーのハリウッドデビュー作は来年4月末、世界で同時公開される映画『X‐MENオリジンズ:ウルヴァリン』。突然変異の特殊要員ゼロ役を演じる。制作会社20世紀フォックスによる秘密のマーケティング戦略によって、まだ1度も同作についてインタビューに応じたことがないというダニエル・ヘニーに会った。インタビューはオーストラリア・シドニーの撮影現場と帰国の飛行機の中で、韓国語と英語を交えて行われた。

-いつどのようにキャスティングされたのか。

 「今年の正月、故郷(ミシガン)で両親と連休を一緒に過ごしていた。そのころ、ちょうどハリウッドの作家たちがストをしており、映画界ではあらゆることが遅々と進まない時期だったが、『X‐MENオリジンズ:ウルヴァリン』のキャスティング・ディレクターから連絡が来たので驚いた」

-オーディションは?

 「当然オーディションを受けると思っていたが、そうではなかった。映画『マイ・ファザー』(2007)を見たからオーディションは必要ないといわれた。正直、言葉にできないほどうれしかった。また、両親が通訳なしに見られる映画に出演できるということもうれしいことだ。キャスティング・ディレクターの言葉を今でもはっきり覚えている。『人生を変える準備はできているか』」

-特殊要員ゼロについて説明してほしい。

 「ウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)と同じく、突然変異の超能力者だ。暗殺と追跡を専門にしている銃器殺人の達人。もともと原作の漫画でゼロはドイツ出身の特殊要員だった。それなのに韓国の俳優を選んでくれた。だからいっそう誇らしい気持ちになる。これまでハリウッドから幾度かオファーを受けたことがあったが、ほとんどが武術やカンフーをする東洋人の役だった。だからハリウッドに進出したいとは思わなかったし、韓国の観客に対しても礼儀にかなっていないと思い辞退した」

-銃器の達人? 米国で暮らしていたころ、銃を撃った経験は?

 「父が海軍出身ということもあり、銃をコレクションしていた。ミシガンではほとんどの家庭が銃を保持している。僕も12歳のときに銃器の安全教育を受けた。子どものころ、父がシカ狩りに連れて行ってくれたことがある。午前5時でまだ眠かったせいもあるが、全然面白くなかった。そして動物を撃つということが嫌だった。それ以降は練習用の的を使った射撃だけをしている」

-韓国での活動とハリウッドでの活動の配分は?

 「(慎重に言葉を選んで)韓国は今僕が持っているすべて、僕が得たものすべてをくれた国だ。僕は韓国の俳優だと思っている。俳優としての僕を作ってくれた国だ。希望は毎年韓国で1本、ハリウッドで1本ずつ撮影すること。もちろん、あくまでも僕の希望ではあるが…」

-韓国でできる役には制限が多いようだが。

 「待っているのだが、これといった役が来ない。だからシナリオを書いている。監督にも挑戦してみたい。いつまでもロビン(映画『ミスターロビンの口説き方』)やサムスンの友達(ドラマ『私の名前はキム・サムスン』)でいることはできないではないか。繰り返してばかりいると、観客にも飽きられてしまうだろう。『マイ・ファザー』(養子縁組され、在韓米軍として韓国に戻ってくる役)を演じた以上、今の僕のようなキャラクターで演じることができる役はないような気がする。主演でなくても、意味のある脇役を演じてみたい」

-すべては韓国語の実力にかかっていると思われるが。

 「もちろんだ(笑)。しかし韓国語も少しずつ上達している。僕のマネージャーは『もう一人立ちさせても韓国で生きていけそうだ』と話していた。前回、両親が韓国に来た時、僕が父の通訳をした」

-今回のあなたのキャスティングは、ハリウッドのアジア興行戦略とも思えるが。

 「その理由もあると思う。しかし彼らは利口だ。数千億ウォンをかける作品ではないか。ハリウッドはギャンブルをしない。単純にアジアで有名だという理由だけで僕をキャスティングしたわけではないと信じている。

Rain(ピ)、チャン・ドンゴン、イ・ビョンホンさんにも同じことがいえるだろう」

シドニー=オ・スウン記者
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