チャ・テヒョンの人生に一番大きな変化をもたらしたのは、映画『猟奇的な彼女』で一躍スターダムに上ったことではない。チャ・テヒョンにとって最も大きな意味をもたらしたのは結婚だった。
チャ・テヒョンと言うと、人々はいつも『猟奇的な彼女』のキョヌを思い浮かべる。一人の女性を愛し、純愛を貫く世間知らずな青年。しかし、チャ・テヒョンは結婚前と後では作品の選択の仕方が変わったという。
「結婚を基点として、その前後にそれぞれ映画やドラマを5本ずつ撮りました。たとえば結婚前は映画『Sad Movie〈サッド・ムービー〉』『僕の、世界の中心は、君だ』『君に捧げる初恋』のような初々しい作品でしたが、結婚後は映画『覆面ダルホ‐演歌の花道‐』『スピード・スキャンダル』、ドラマ『総合病院2』のように、少し違ったものを見せられる作品を選びました」
実はチャ・テヒョンは興行とはあまり縁がなかった。自らも語るように、ソン・イェジンと共演した映画『君に捧げる初恋』が興行的に成功した最後の作品だった。だが『君に捧げる初恋』のチャ・テヒョンは、韓国映画界や大衆が願う『猟奇的な彼女』のキョヌの二番煎じに過ぎなかった。チャ・テヒョンは「『君に捧げる初恋』を撮影しながら危機感を感じました。人々が僕のことをもう必要としないのではないかと思いました」と話す。
その次に撮った映画『チャ・テヒョンのハッピー・クリスマス』は、変化を求めた作品だ。何より助演が多く、一緒に一つの作品を作るようなものを選びたかった。しかし、観客の反応は冷たかった。
「試写会の時、失敗したなと感じました。コミカルに演じたわけではないシーンなのに、観客がすごく笑うんです。僕のユーモア感覚がなくなってきてるのかもしれないと思いました」
チャ・テヒョンは自分の長所や短所を明確に話す。だから興行失敗についても、ためらうことなく語る。「ハ・ジウォンやカン・へジョンなど、多くの女優さんと共演しましたが、特に興行とは縁がありませんでした。映画『パボ』では僕がハ・ジウォンさんを推薦しました。彼女にとても申し訳ないし、今後はキャスティングに関与しないようにしようと思います」。チャ・テヒョンの作品は興行的には成功しなかったが、観客に希望を与える温かい面がある。
このごろ子育ての楽しさにはまっている。息子の話が出るたびに目がきらきらし、とめどなくほめ言葉を列べる。携帯電話の待ち受け画面も息子の笑顔だ。チャ・テヒョンが映画『スピード・スキャンダル』を選択したのも、子役が登場するからだ。なぜか子供が登場する映画を撮ってみたかったという。
「名前はスチャンです。漢字で洙燦と書きます。自分で漢字辞典を探しながら名前を付けました。明るく開かれたような感じの名前にしたかった。早く女の子も欲しい」
チャ・テヒョンは今、新しい作品を夢見ている。今年は相次いで映画『パボ』『スピード・スキャンダル』、ドラマ『総合病院2』に出演したが、実は子供が最優先だからだ。しかし、まだベッドシーンのある作品には自信がないという。
「これからは新鮮な映画を撮りたい。でも、ベッドシーンは自信がありません。結婚して、妻が唯一反対したことです。僕の体を見せるのも心苦しいし」
『スピード・スキャンダル』は、30代半ばだが一時はアイドルスターとして人気のあった聴取率1位の人気ラジオDJナム・ヒョンスと、自分はヒョンスの隠し子だと言い張るファン・ジョンナムが繰り広げる騒動を描く。12月4日公開予定だ。