チェ・ジンシルさん遺族ら「祈りで癒しを…」


 あれこれ言うまでもなく、今誰より辛い時間を過ごしているのは故チェ・ジンシルさんの遺族だ。チェさんの支えだった母親、頼もしかった弟チェ・ジニョンは言葉で表現することができないほどの痛みを背負い、一日一日を耐えている。

 10月4日午後、カプサン公園墓地(京畿道楊平郡楊西面両水里)。チェさんの遺骨を乗せたバスが到着し、礼拝が始まった。礼拝は普段チェさん一家が通っている教会のユン・ユンシク牧師が執り行い、キリスト教式で行われた。ユン牧師は生前のチェさんの姿を思い浮かべ、「故人はわたしに娘の写真を見せるとき幸せそうだった。故人は賛美歌405番『わたしのような罪人が生かされた』が一番好きだった」などと思い出を語った。

 チェさんの母親とチェ・ジニョンは涙を流したが、できる限り感情を抑えて故人のために心から祈った。しかし、それもつかの間。納骨の際、母親は再びおえつした。遺骨が埋葬された後、母親は墓石をさすり続け、先にこの世を去った娘に「ジンシル、わたしを置いて行ったらダメじゃないか」「ジンシル、お母さんがまた来るからね」と言って、切なそうに涙を流した。

◆葬儀以降の暮らし

 遺族にとって唯一、慰めになったのは宗教だった。チェ・ジンシルさんの家族は、ある関係者の紹介で数年前からこの教会に通っている。チェさん姉弟は仕事が忙しくて行けない日も多かったが、その関係者や二人の子どもたちはほぼ休むことなく週末の礼拝に参加していたという。このような縁で、教会は今回の葬儀を最初から最後まで執り仕切ってくれた。

 チェさんの母親とチェ・ジニョンは10月12日、教会の礼拝に参加し、葬儀を手伝ってくれたことに深い感謝の意を表した。そして今後、宗教活動によりいっそう励むことを誓った。礼拝に参加した多くの信者たちは遺族に勇気を与えた。

 そして1週間が過ぎた10月19日。約束通り、遺族は一人も欠かすことなく、週末の礼拝に参加。母親とチェ・ジニョンは本礼拝に、二人の子どもは初等礼拝に出席した。淡々とした表情で参加した遺族は1時間、厳粛な面持ちで礼拝に臨んでいた。それが終わると、母親とチェ・ジニョンはピ・ヨンミン牧師と1時間ほど言葉を交わした。

 相談が終わった後、母親は「牧師様からいい話を聞けて、大きな慰めとなった」と感謝の気持ちを伝え、近況を問う記者にも「心配してくださってありがとう」と答えた。チェ・ジニョンも言葉数は少なかったが、以前よりだいぶ穏やかな様子だった。

 チェ・ジニョンとは話したいことがたくさんあったが、本人が口を固くつぐんでいた。その場に同行したチェさんのマネージャーもやはり、「まだだいぶ辛そうだ。このように取材陣が来ると、遺族はもっと辛くなる。いつになるかは分からないが、時間がたてばインタビューできる日が来るだろう。そのときまで待っていてほしい」と、記者の接触を遠まわしに断った。遺族の悲しみがすぐに消えるはずがない。そのことが分かるから、記者もそれ以上は取材をしなかった。

 すべての礼拝スケジュールが終了し、母親とチェ・ジニョンはそそくさと家に向かった。チェさんの二人の子どもは同じ教会に通う女優ユン・ヘヨンが自宅に連れて行った。日曜日の午後を一緒に過ごした後、送り届けてあげるそうだ。遺族らはやっと、久しぶりに平穏な午後を過ごした。

取材=チェ・グクテ、ペク・ウニョン記者
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