インタビュー:ペ・ドゥナ、母娘で演劇制作(下)

■母との楽しい演劇人生


 キム・ファヨンに聞いた。あるメディアとのインタビューで「ドゥナはわたしが20年間、女優にするため育てた企画商品だ」と語った。娘と共に演劇をやる計画をずっと前から立てておいたのだ。

 「その言葉は、映画『吠える犬は噛まない』にドゥナを出演させるための、一種の圧力のような表現でした(笑)。わたしが思うに作品も監督もとても素晴らしかったんですよ。それでドゥナが新人だから出演は難しいという制作会社に訪ねて行ったときに、その言葉を言ったんです。ドゥナは幼いころから演劇をやる母を見て育ちました。主に現場で学ぶしかなかったんです。そんな教育が必ず独創性を生み出すと信じました。多様な文化関連書籍を読みあさった娘に対しての信頼もありましたし。またわたしのように周囲の反対を押し切って演劇を始めたのではないので、わたしがドゥナを支える存在になるから、いつか一緒に演劇ができると信じていました。今考えてみると、わたしの勇気が本当に功を奏しました(笑)」

 ペ・ドゥナに聞いた。プロデューサーとしてはずっと演劇に携わっているが、舞台で演じるのは2004年『サンデーソウル』が最後だった。もう一度女優として演劇の舞台に立つ考えはないのか?

 「わたしの心に響いて、上手く演じられる作品があり、と同時に時間的な余裕があれば、当然舞台に上がるべきだと思います。舞台は女優として再教育を受けられるいい機会です。声を掛けてくださったら感謝します」

 演劇『サンデーソウル』はおよそ1億4000万ウォンの赤字を出した。映画も大衆性よりは作品性を重要視すると定評があるが、スターよりは女優として残りたいという欲のためなのか? 一部では作品性だけを追求するのはもったいないという見方もある。

 「生まれつきの姿を変えることができないように、趣向もそうだと思います。やりたくない作品をやったことはありません。つらそうなので避けてます。それから『サンデーソウル』は、そんなに大きな赤字が出たわけではありませんでした。記事が間違って出たんです。出演者が多くて制作費がそれぐらいかかったという話が間違って伝わったようです。地方公演も3回ほどやりましたが、大きな損害は被りませんでした。演劇はひと月に約40回公演で、全て満席になったとしても黒字を出すのは大変なことです」


 キム・ファヨンに聞いた。「女優キム・ファヨン」は後輩から尊敬される先輩だ。尊敬される理由は何だと思うか? 今後演劇女優としてどんな計画を立てているのか。

 「尊敬されているかどうかはよく分かりません(笑)。ただ演劇や人生においてつらいことがあると、わたしに相談しに来る後輩は多いです。後輩に会うといつも、“ご飯は食べた? 仕事に入った? きっとうまく行くわ”などとあいさつ代わりのように言ってるからなのか。もう本当におばあちゃんになりたいです(笑)。あとわたしの役目は、子どもたちを結婚させることだけです。結婚までわたしの言葉をちゃんと聞き入れるかは分かりませんけど」

 ペ・ドゥナに聞いた。世宗路に演劇人のための練習室を用意し、「坦々大路」という演劇制作会社を運営しているが、演劇に格別の愛情を注ぐのは母のためなのか?

 「母が家訓のように言い続けている言葉があるんですが、たぶんその言葉に洗練されたようです。“貧乏救済はわたしもできない。でも芸術は貧乏を慰める。基礎芸術である演劇を後援しなさい”。それがわたしが演劇に愛情を注ぐしかない理由だと思います」

 ペ・ドゥナを見ると本当に恵まれた女優だという気がする。自らの努力もあるが、あれほど心強い支援者である母が人生の先輩、女優の先輩として良い道案内の役割をしてくれているからだ。自身の会社名の通り、ペ・ドゥナが歩いて行く道はまさに「坦々大路」のようだ。

取材=ペク・ウニョン、チャン・セヨン記者 写真=イ・ヒチョル 協賛=ラインヘアーメイクアップ

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