-代表作『白い巨塔』(MBC)の主人公チャン・ジュンヒョクとカン・マエは似ている部分が多い。何より自分に対する確信に満ちた人物であるという点で。
「それはそうかもしれない。しかしチャン・ジュンヒョクは天才、カン・マエは徹底した努力家という点で差がある。チャン・ジュンヒョクは目的のためには手段と方法を選ばない人物だった。人脈をうまく活用し、必要とあらば土下座でも何でもしてしまうような人物。しかしカン・マエは、指揮者を辞めてでも自分のプライドだけは捨てない頑固者。二人とも孤独で寂しい人生だけれど、カン・マエの方がキュートで痛々しく見えるのでは? 僕の性格はカン・マエの方に近いと思う」
-『不滅の李舜臣』『白い巨塔』『ベートーベン・ウイルス』と絶好調だがその秘訣は?
「ヒットしなかった作品もある。映画の方はダメだった。成功したドラマの場合、僕と同じように激しく悩み、真剣に仕事をする人たちとめぐり会ったのが大きな力になったと思っている」
記者懇談会でキム・ミョンミンに会った日本側の記者は、「わたしにクソの塊(ドラマの中で演奏者を軽蔑するセリフ)と言うんじゃないですか」と話しかけた。するとキム・ミョンミンは「誰にでもそんなことを言うわけじゃありません。実力のない人たちにだけです」と笑った。
-イ・スンジェ、ソン・オクスクのような大先輩にまで毒舌を吐くのは負担だったのでは?
「尊敬する先輩に対してはよりきつく言わなければならない。小さなミスでもしてNGが出れば、何度も失礼なことを言わなければならなくなるから。先輩たちが僕をきつい指揮者だと感じるよう、普段よりも緊張して役になりきるようにした」
-名セリフが数え切れないほど多いが、一番記憶に残るセリフは?
「それは本当にたくさんある。でも突然聞かれると浮かんでこない。セリフを言ってから『ああ、これはいいな』と独り言を言ったことがたくさんあった」
-あなたにとって演技とは?
「僕の人生すべてだと言えばありきたりだし…いつも目の前にある、挑戦しなければならない課題のようなもの」
-『不滅の李舜臣』にキャスティングされる前、ヒット作がなく、俳優を辞めてニュージーランドに移住する計画もあったと聞いた。そのとき本当に移住していたらどうだったと思うか。
「ニュージーランドに行ったとしても、そこで自分の道を探してうまくやっていた思う。俳優はしなかったと思うけれど…。あのとき『不滅の李舜臣』とめぐり合っていなければ、俳優は僕の道ではなかったということだろう」
撮影のため公開ホールに入る直前、キム・ミョンミンを呼び止めて聞いた。「自分で自分の演技がうまいと感じたことはあるか」と。キム・ミョンミンは意味深長な微笑を浮かべ、「そういう考えは俳優には禁物」と控え目に語った。「僕も自分の演技を見ながら『変だ』『これはひどい』とよく思う。皆さんがほめて下さるだけ。
自分で自分をほめることはできない」