キム・ミョンミン、「カン・マエ」シンドロームを語る(上)


 「ミョンミン、サインを何枚か準備しておいてくれよ。子どもたちがどうしてもお前のサインが欲しいと大騒ぎでさ」

 「わかりました。先輩」

 6日夜、京畿道高陽市一山のMBCドリームセンター3階の廊下。ドラマ『ベートーベン・ウイルス』最終公演の撮影を控えた「カン・マエ」ことキム・ミョンミンのところに、「ペ・ヨンギ」役のパク・チョルミンが笑顔でサインを求めに来た。指揮者カン・マエは最近、毒舌に加えストレートな物言い、有無を言わせぬリーダーシップでシンドロームを巻き起こしている「最強キャラ」。このような人物を、オーバー演技の泥沼に陥ることなく自然に演じてみせたキム・ミョンミンに対する評価は高い。この日、日本の取材陣と記者懇談会を行ったキム・ミョンミンにインタビューをした。

-「カン・マエ」シンドロームの理由は何だと思うか。

 「社会的な雰囲気のためだと思う。景気も悪く、日々の生活に追われているから、誰もが心の中に鬱積(うっせき)したものを抱えている。それをカン・マエが毒舌で発散してくれているからでは? よく聞いてみると、間違ったことは一つも言っていないし。優しくハンサムな主人公は今まで何度も見てきたから、カン・マエのような男に魅力を感じるのかもしれない」

-カン・マエのリーダーシップの核心は何だと思うか。

 「人事政策では? カン・マエは学歴、経歴のようなものは一切気にせず、実力本位で人を選んだ。韓国社会では実際にそうすることができないからこそ、カン・マエを魅力的に感じるのかもしれない」

-気難しく偏屈そうな口調は誰のアイディアか。

 「僕だ。最初はあまり強烈過ぎると視聴者に不評を買うのではないかと思い、少しずつ小出しにしたところ、反応がよかった。そのため第3話から本格的にアクセントまで強調し、その口調をメインにした。少しでも気を抜くと自分本来の口調に戻ってしまうので、撮影の間はずっとカン・マエになり切っていなければならなかった。だから一緒に撮影している仲間たちとおしゃべりしたり、ふざけ合ったりしたくてもジッと我慢した。チャン・グンソク君など後輩たちは最初のころ、僕をとっつきにくい男だと思っただろう。いつも腹を立てているような顔をしているし、冗談も言わないし。ハハハ(笑)」

-個性の強い役を演じるため、眉毛の形を上向きに強調して描いていたと言われているが。

 「大変だ! 僕の本当の眉毛の形を忘れてしまった。ある日の朝、鏡に映った自分の顔を見て驚いた。いつも眉毛を剃っていたせいか、もう少ししか眉毛が残っていなくて…」

-指揮の練習をするのは大変だったか。

 「正直言って、とても一生懸命練習した。練習しただけの成果が画面に出るから。それでも心残りはある。

第5話までは公演の準備をする時間がたくさんあったが、合奏公演の後からは曲を2‐3日前に受け取ったので、ほとんど練習できなかった」

チェ・スンヒョン記者 , イラスト=キム・ウィギュン記者
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