ススキの海で晩秋の余韻を

 紅葉が日ごとに南下し、都会の風景も何となく寂しさを感じる。しかし、秋の情緒を満喫できる自然からのプレゼントはまだ残っている。間もなくススキの一番美しい季節になるからだ。ススキは少しずつ黄金色に染まり、11月初めにピークを迎える。華やかな紅葉とは違い、風に揺れるススキの海は人々を静かに落ち着かせる。広大なススキ林の真ん中をゆっくりと歩きながら秋の情緒を満喫し、心を落ち着かせてみよう。首都圏では西海岸・始興のケッコル生態公園や安山・始華湖のススキ湿地公園が代表的なススキの名所だ。

◆始興ケッコル生態公園

 慶尚南道昌原で開催されたラムサール条約当事国総会がきっかけとなり、湿地に対する関心が高まっている。始興市長谷洞にあるケッコル生態公園では海辺の湿地の様子をたっぷり観察することができる。ケッコルとは浜辺の溝のことで、満ち潮のときに海水が入ってくる地形のこと。ここはもともと塩田だったが、1996年から塩の生産を中断し、放置されていた。しかし最近、始興市が生態公園として造成し、多くの人々が訪れるようになった。この公園には、ススキ林の間を歩くことができるよう散策路が作られている。散策路の近くには塩田の一部も復元されており、4月から10月までは塩も生産している。塩を保管する倉庫もそのまま残してあるため、写真愛好家たちに人気のスポットでもある。このほかシチメンソウ、マツナ、アツケシソウなど、陸地ではなかなか見ることのできない塩生植物や、アシハラガニなど珍しいカニたちも観察できる。餌を探しにたくさんの渡り鳥もやってくる。

 ススキ林と溝の間にある自転車道路を利用し、ハイキングを楽しむ人も多い。この道路はハスの花のテーマパーク、物旺貯水池をつなぐ道で、全長22キロ。海辺の方は蘇来港やウォルゴッ港へとつながっており、見所満載だ。ウォルゴッ港には刺し身が食べられる店や遊園地もある。さらにケッコル生態公園からは烏耳島も近い。

◆始華湖ススキ湿地公園

 始華湖に流れ込む半月川、桐華川、サムファ川の合流地域に作られた人工湿地だ。湿地によって水質を浄化し、生態公園として活用しようという趣旨で作られたもの。安山市常緑区四洞にあり、面積100万平方メートルに及ぶ韓国で最も大きい人口湿地だ。ススキ林の間には板張りの遊歩道が作られており、ゆっくり散歩を楽しむこともできる。

 最近はカルガモ、オシドリ、チュウダイサギ、アオサギ、ウなどの鳥類や、ボラが群れを成して泳ぐ様子を観察することができる。運が良ければキバノロやタヌキにも会える。年末が近づくにつれ、冬の渡り鳥たちが本格的に集まってくる。この公園には、ひそかに渡り鳥を観察できる施設のほか、魚たちが川をのぼることができるよう設置された「魚道」もある。

 また、入り口には始華湖環境生態館がある。1階には始華湖の歴史のほか、湿地と関連した各種資料、恐竜の卵の化石や鳥類の写真、鳥や動物のはく製などが展示されている。2階の展望台には望遠鏡があり、湿地に生息する各種の野生の鳥たちを観察したり、湿地の景色を見下ろすことができる。温室ではハスの花など水生植物が見られる。生態池や、野生の花を集めた花の道もある。

◆公園案内

 ケッコル生態公園、始華湖ススキ湿地公園まではどちらとも車を利用するのがよい。インターネットなどであらかじめ行き方を調べておくと便利だ。どちらも入場料は無料。ススキ湿地公園は開園時間が決まっており、11月から4月までは午前10時から午後4時30分まで、生態系保護のために月曜日は休園日。

クォン・サンウン記者
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