イルマはまだ軍隊で服務中だった2007年5月27日、ソン・ヘイムと結婚式を挙げ、今年7月9日に可愛い娘が産まれた。名前はイ・ロウン。世の中の「イロウン(ためになるの意)」人間になるようにという思いを込め、妻のソン・ヘイムが付けた名前だ。
イルマは妻の言うことは何でも聞かなければならない立場だ。軍隊にいる間、結婚の準備から出産まで何もかも妻一人にやらせてしまったからだ。だから感謝の言葉以外は出てこないとか。
-妊娠している妻の姿を見たことがないのでは?
「そうですね。休暇に出たときだけ見たのですが、会うたびにお腹の大きさが違っていました。あの中に生命体が入っているということが不思議でしたね。娘ということは早くから知っていました。周りの人たちもかわいらしく膨らみ始めた妻のお腹を見て、娘だろうと言っていたのですが、産婦人科の先生にもピンクの服を準備するようにと言われたので娘だなと。僕には息子より娘の方が似合うと言われます。ピアノを弾く父親には息子より娘が似合うって。僕も娘でよかったと思っているし、妻も喜んでいます」
-離れていたため、さらに愛情が深くなったのでは?
「そうかもしれません。軍隊に行かず、ただ交際していたら結婚まで至らなかったかもしれないし。離れていたため、もっと思いが切実になったのかもしれません。妻は毎日欠かさず手紙を送ってくれました。軍隊の生活はとても辛かったけれど、手紙が大きな支えになりました。訓練を終えて内務班(兵士が寝泊まりする部屋)に戻るときには、手紙が来ていることを考えるだけで疲れも吹き飛びました。その手紙のおかげで軍隊での苦しい生活に耐えることができたと思っています」
-娘の面倒は誰がみているのか。
「妻が面倒をみることが多いですね。僕も一生懸命手伝っていますが、育児は思ったよりも大変です。最近は少し要領がつかめてきたけれど、それでもやっぱり難しいです。娘がベビーカーやチャイルドシートを嫌がるため、外出するときは僕がずっと抱っこしています。育児はこの世で一番大変な仕事かもしれません」
-妻ソン・ヘイムさんはどんな女性か。
「夫の面倒をよくみてくれるタイプです。同い年なのに年上のように感じることもあります。それからとても純粋な人です。最近の女性は結婚する前にいろいろな条件をつけたがるものですが、そういうことがありません。実際、僕は軍隊に行かなければならなかったし、何かを保障してあげることが難しい状況だったのに、僕だけを信じて結婚してくれました。除隊する少し前にコンサートを開いたのですが、このコンサートで司会者の方が“奥さんに一言”と突然、マイクを僕に向けたんです。そのとき“ごめんね、ありがとう、会いたい、愛してる”といった言葉が一つも出てきませんでした。僕が軍隊にいる間、本当に苦労させてしまったため、こんな言葉で終わらせることはできないなと思って。もっと優しくしてあげなきゃいけないですよね」
チェ・グッテ記者
写真=シン・スンヒ
場所提供=アルペンシア・リゾート