東南アジア生まれ「コーヒーバンズ」が韓国で人気

 最近韓国では東南アジアから「海を渡ってやってきた」コーヒー風味のパン、「コーヒーバンズ」が飛ぶように売れている。香港やシンガポール経由でやってきたコーヒーバンズは、表面はカリカリで中身はフワフワという食感が特徴。英国に由来する手の平ほどの丸いパンが、植民地統治時代にマレーシア・香港・シンガポールに広がり、東南アジアを代表するおやつとして定着した。

◆崩して平べったくして食べる

 バンズとはもともと丸いパンのこと。「膨らむ」という意味を持つ古代フランス語「bugne」に由来し、15世紀以降、牛乳とパターを基本に、干しブドウやクルミなどを入れて作った甘く柔らかい英国式のパンをこう呼んだ。いわゆる「モーニングブレッド」と呼ばれているパンのことだ。

 東南アジアで人気を集めているバンズは、伝統的な英国式のものとは少々異なる。小麦粉にバターを入れてこねたものを発酵させ焼いたものだが、焼くときにコーヒークリームを塗るのが特徴。1998年、マレーシアでヒロ・タンさんが現地語でパンを意味する「ロッティ」という言葉を取り「ロッティボーイ」を設立、コーヒーの香りがする甘いパンの皮と、かすかに塩味のきいたフワフワの中身という組み合わせで人気を集め始めた。そのまま食べるよりも平べったくして食べた方が美味しいという。

 「ロッティボーイ・コリア」のコ・ヒジョン・マーケティングチーム代理は、「ロッティは熱々のときに両手でつぶし、平べったくして食べるともっと美味しい。中に入っているバターがちょうどいい具合に広がり、パンが香ばしくなる」と説明した。

◆デザートよりも食事の代用として

 見かけはサクサクとさっぱりして見える甘いコーヒーバンズ。しかしデザートとして食べるには少々満腹感がある。

 皮はサクサクと軽いけれど、パンを裏返してみるとバターが染み出しているのが見える。中にバターの固まりが入っているからだ。「ロッティ・マム」のユン・パンギ本部長は「東南アジアでも、デザートよりは食事代わりに食べる女性が多い。コーヒーと一緒に朝食として食べる顧客が最も多い」と話した。

◆ボーイ、マム、パパ…どこがどう違う?

 一つヒットするとあちこちで同じような店が誕生するのが飲食業界の運命。2007年にオープンした「ロッティボーイ」(マレーシア)を皮切りに、「パパロッティ」(香港)、「ロッティマム」(シンガポール)などの海外チェーン店が続々とオープンし始めた。「パン・アトリエ」「ロッティバーン」のような韓国のチェーンも5、6店舗誕生している。

 現在、コーヒーバンズ市場はロッティボーイ、パパロッティが大勢を占めている一方で、ロッティマム、パン・アトリエなども後発メーカーとして奮闘している。最近はパリバゲットのようなベーカリー・チェーンもコーヒーバンズを売り始めた。

 消費者が今最も知りたいのはそれぞれのメーカーの味と大きさ、値段の差だ。10月現在、全国に136店舗を展開する「ロッティボーイ」はパンの大きさが平均100グラムで幅13センチ。カロリーは225キロカロリーで、ご飯1杯(200‐300キロカロリー)よりやや少ない程度。値段は1個当たり1800ウォン(約130円)。一方、パリバゲットの製品は平均82グラムで幅12センチ、一つ当たり1100ウォン(約86円)。正確なカロリーは表示されていない。バターがかなり手につく感じで、味は専門店のものよりも甘く濃い。

 ポータルサイト「ネイバー」の同好会「盆唐グルメ」の会員たちは試食探訪で「ロッティボーイの中身が一番塩味が効いていて香ばしい。パパロッティはバターが少なく皮が1番サクサクしている。ロッティマムは口に入れた食感がしっとりしている」と評価した。

ソン・ヘジン記者
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