◆ノウハウ3=京城の謎の女「チョ・ナンシル」になるまで
京城(昔のソウル)を舞台にした映画『モダンボーイ』でキム・ヘスは、正体不明の謎の女性、チョ・ナンシルを演じている。作品の中で職業が何度も変わるため、難しいダンスの訓練も受けなければならなかった。足のツメがむけるほど練習を重ね、ボーカルトレーニングも行い、歌の実力に磨きをかけた。
「チョン・ジウ監督はとても繊細で、忍耐力のある方です。こんなに静かでありながら躍動的な現場は初めて経験しました」
映画『親知らず』など、チョン監督の作品すべてに感動したという。企画中の期待作と紹介された『モダンボーイ』を偶然知り、この役をやってみたいと思っていたところにシナリオが届いたためとてもうれしかった、と話すキム・ヘス。特に、完璧なオープンセットから美術作業までこなすスタッフとの作業は、素晴らしい経験だったという。
◆ノウハウ4=一歩ずつ前進する
1986年に映画『カムボ』でデビューしたというから、既に20年以上たったことになる。
「俳優は自分が選ぶと同時に選ばれる存在でもあります。いつもあらゆる状況に対し漠然とした準備をしなければなりません。どのように耐え、どのように待つかが重要なポイントです」
キム・ヘスにとって、女優としてのターニングポイントはキム・ジユン監督の『スリー・メモリーズ』だ。
「長い間女優という仕事をしていると、業界の先入観がどんなに恐ろしく根強いものかということを感じます。でもキム・ジウン監督はそんな偏見から完全に自由な方です」
キム・ヘスにとって「いい監督」とは、俳優に無理な要求をするより、確信の中で指揮をするスタイルだ。キム・ジウン監督をはじめ、『いかさま師』のチェ・ドンフン監督、そしてチョン・ジウ監督はキム・ヘスにとって特別な存在だ。
「チョン・ジウ監督とクランクインの前に約束をしました。この撮影が終わった時、小さなことでもいいから、何かを手に入れたと言えるようにしようと」
飛躍よりも、毎日少しずつ前進していく女優としての人生を夢見るキム・ヘス。だからファンは常に、キム・ヘスの次の作品を待ってしまうのかもしれない。