「白菜を塩漬けにして、粉唐辛子、ニンニク、ショウガ、ネギなどの薬味を入れ、乳酸生成によって熟成、低温で発酵させた食べ物」。2001年国際食品規格委員会総会で採択された、キムチの国際規格の定義だ。
キムチはプルコギ(焼き肉)とともに韓国を代表する食べ物とされているが、すし(日本)やパスタ(イタリア)に比べると国際的認知度はかなり低いといえる。外国のデパートではキムチが日本の食品のように販売されていることすらある。「キムチの世界化」が10年以上にわたり強調されてはいるものの、合言葉程度の認識しかないという意見が多い。
政府が16日に「韓国料理の世界化宣布式」を行い、韓国料理調理法の標準化と韓国料理産業の研究開発拡大案を含めた総合計画を発表したのに続き、ソウル市が25‐26日の二日間、キムチの世界化のためのフェスティバルを開催する。2年近く準備してきた「キムチ愛フェスティバル」がキムチをグローバルフードとして発展させる契機となるか、注目が集まっている。
◆キムチを「デザイン」する
今回のフェスティバルがテーマにしているのは「キムチ文化の世界現地化」だ。キムチの固定観念を打破し、世界の人々の口に合うようなキムチを発掘することを目標にしている。
どこでも手軽に作ることができるサラダのようなキムチ、ワインにぴったりのキムチ料理などを紹介し、「辛くにおいのきつい刺激的な発酵食品」というイメージをぬぐい去り、世界の人々に一歩近づくという構想だ。フェスティバル初日(25日)には、ロシアやハンガリーなど15カ国の大使夫人たちが、各国の大使館で食べている「キムチを使ったアレンジ料理」を披露するイベントも開催される。
これに先立ち、24日には「世界人の健康キムチ」をテーマにしたセミナーも開催される。パク・コニョン韓国キムチ協会会長をはじめ、学会や業界の専門家たちが参加し、キムチの世界化について議論する。
イベントの期間中、会場となる南山韓屋村(ソウル市中区)では、キムチ・ケーキやキムチ・チーズ・カナッペ、キムチ・カツレツなどフュージョンキムチ料理を紹介し、キムチ・クッキー、キムチ・チョコ、ワイン・キムチ豆腐巻きなど、多彩なキムチ料理を試食できるコーナーもある。またキムチ関連の企業展示では、海外に輸出しているフュージョン・キムチ料理や開発中の製品の試食もできる。
◆地方のキムチ・フェスティバルとの差別化が成功のカギ
10年以上の歴史を持つ光州キムチ・フェスティバルに比べ、ソウルのキムチ・フェスティバルは今年が初めての試みだ。ソウル市がキムチ・フェスティバルを開催することになったのは、市民の提案と想像を政策として実現するホームページ「千万想像オアシス」に掲載された「スペインのトマト・フェスティバルやドイツのビール・フェスティバルのように、ソウルもキムチをテーマにした世界的なフェスティバルを作ろう」という提案がきっかけとなった。
イベント会場は、外国人がたくさん訪れる南山韓屋村に決まった。伝統家屋の落ち着いた雰囲気とキムチ文化を一緒に楽しむことができるようにするためだ。外国人観光客を対象にフュージョン・キムチ料理の作り方を紹介し、外国人も簡単に作れる「標準化されたキムチ料理」の案内パンフレットも配布する予定だ。キムチ・フェスティバルの後には、外国人を対象としたキムチ観光プログラムを開発する計画も立てている。
キムチ漬け体験、キムチ料理競演大会、全国8道のキムチ展示など、今回のソウル・キムチ・フェスティバルのプログラムは光州キムチ・フェスティバルと似たものが多く、どんな方法で差別化するのかが注目される。莫大(ばくだい)な予算(3億ウォン=約2090万円)に比べ「物足りない」フェスティバルに終われば、今年1回限りのフェスティバルとなり、来年からの開催は不透明になる可能性もある。外国語で書かれた丁寧な案内パンフレット、通訳案内員の確保など、細かい準備がすべて整ってこそ、「キムチの世界化」というイベントの趣旨を生かすことができるだろう。