インタビュー:イ・ドンウク、一歩ずつ前進(下)


-『その男の本198ページ』も、人との縁により選んだ作品だと聞いているが。

 「そういうわけではない。監督に『どうしてそんなにキャスティングが難しいのか』と聞かれた。だから『全然そういうことはない。一杯飲めばすぐにやります』と答えた(笑)。僕は監督と会う前、礼儀として、シナリオを読んで自分なりの解釈をしてから行くようにしている。そして話をすると、『出演する気だな』と思われることが多い。そういう顔を見てしまうと、出演しないとは言えなくなってしまう」

-もっとずるくなり、正直さを捨てれば楽になると思ったことは?

 「もっとずるかったら、今より楽になれたかもしれない。演技力や収入、ファンももっと増えただろう。でも最初から、演技をする目標がアイドルになることではなかったから。今は軍服務を終えた後の、30代以降の自分が気になる」

-正直すぎて損をするタイプだ。米国産牛肉の輸入に反対するキャンドル集会のときも一騒ぎあったようだが。

 「自分ではよく分からない。キャンドル集会が盛んに行われているとき、ファンサイトにある書き込みを残したところ、それが記事になってしまった。僕の書いた書き込みに対し、『軍隊に行って来てから国のことを考えろ』というレスが付いていた。映画『最強ロマンス』のとき、撮影中にどこかをケガしたと言うと、「軍隊に行きたくないからだ」と言われた。その後、いくら体の具合が悪くても口に出すことができなくなってしまった。それなのにあいつは嫌な奴だと言われる。芸能人だからといって、嫌なことを嫌だと言えないのはおかしいと思う」

-妥協はしないということか。

  「よく分からない。以前より妥協する割合が増えたような気もするけれど、自分を殺して当たり障りなく生きていくつもりはない」

-早ければ来年軍隊に行くと聞いている。忘れられてしまうことに対する恐怖は?

 「以前ほど強くはないけれど、忘れられることに対する恐怖はある。まあ、非正規職の人生なので(笑)。だから待っている。

僕をもっと見せることのできる作品を」

チョン・ヒョンファ記者
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