ムン・グニョン「男になって開放感を味わった」

『風の絵師』で男装した女性天才画家・申潤福を熱演

 ムン・グニョンはずっと可愛くなければならない?

 ムン・グニョンはそろそろ大人の女性にならなければならない?

 「心優しい女優? そんなことないです。気が強くても仕事ができるって言われた方がいいです」

 ムン・グニョン(21)はほおに墨を付けた顔でペコリと頭を下げた。「遠くまでご苦労様です」。低い声、黒い瞳が鋭く光る。ドラマの中の申潤福(シン・ユンボク)に話しかけられたような気分だ。

 「国民の妹」ことムン・グニョンがドラマ『風の絵師』(SBS)(イ・ウニョン脚本、チャン・テユ演出)で朝鮮時代の天才画家・申潤福を演じている。同ドラマでは申潤福を「男装して図画署(王宮の絵をつかさどる官庁)に入る女性画家」と設定、このためムン・グニョンは男装した女性を演じることになった。

 京畿道金浦市の撮影所で会ったムン・グニョンは「子どものころ、わたしをただちょっとかわいい子として見る人々の視線にプレッシャーを感じ、20歳を過ぎてからは、もう大人の女性にならなければならないと言われ、金縛りになりました。でも、男装する女性の役を演じ、久しぶりに開放されたような気分です」と笑った。ムン・グニョンに対し、ドラマの中の主なセリフを質問代わりに投げかけてみた。


◆「わたしがどうしてここにいなければならないんですか」(申潤福が金弘道〈キム・ホンド〉に)

 「空白期が少し長かったですよね? 一時は『どうしてわたしは女優になって、皆さんから一挙手一投足を監視されながら生きていかなければならないのか。どうして常に批判されなければならないのか。そんな風に思って辛かったです。わたしは少しずつ成長しているのに、今も少しずつ育っている最中なのに、周りの人たちはわたしを子どものように見て、まだ大人になっておらず成熟さに欠けると非難するのです」

 腹が立ったかって? もちろんです。今でもそう思っています。インターネットの書き込みを見て傷ついたり、アンチファンが気になって、部屋にばかりこもっていた時期もありました。そんなときに『風の絵師』の台本を受け取ったんです。申潤福を演じながら再び勇気が出てきました。『ああ、わたしも申潤福のように勇ましく、やりたいことに向かって突き進むべきだ。そうすれば、わたしももう一歩踏み出すことができる』、最近はそう考えるようになりました」

◆「絵とは…懐かしさじゃないですか」(絵とは何かという金弘道の質問に)

 「どんな風に恋愛を始めればいいのか、どこへ行けば恋人ができるのか、まだよく分かりません(笑)。演技をしながら恋愛する気分を味わっているような気がします。一時は自分の演技をどうしても見ることができませんでした。『マイ・リトル・ブライド』『愛なんていらない』を見たときは恥ずかしくて顔が上げられないほどでした。深夜に書いたラブレターを読む気分というか…。最近は恥ずかしくても一生懸命モニターするようにしています。自分の悪いところを分かっていなければ、まともな恋愛はできまんせんから」

◆「あの子は一度意地を張ると絶対に譲らない」(申潤福の父の独り言)

 「最近変わった、とよく言われます。以前は『良いものは良い』と考え、人の話をよく聞いてお利口さんな女優でいようと思っていたけれど、いろいろな人とぶつかりながら考え方が変わりました。わたしが譲ればマネージャーや撮影スタッフ、メークさんにわたしが譲った分、迷惑がかかることが分かりました。だから最近は強情な人間になろうとしています。あの女優、性格は悪いけど演技はうまい…これが心優しい女優と言われるより高い評価だということがやっと分かりました」

◆「誰も見てくれないのなら、花が美しく咲いても意味がない」(申潤福が妓生〈キーセン〉のジョンヒャンに)

 「本当にきれいな人は別にいます。(空中に正方形を描きながら)チョン・ジヒョンさんやAraさんのような人たち。わたしはそんなにきれいじゃないのでダイエットもしなければならないと思い、かなりハードに体重を減らしました」

 「ジャズダンスにフィットネスを欠かさず、おやつを禁止し、ご飯の量も半分以下に減らしました。実際にやせたら空腹もあまり感じなくなったけれど、やせ始める前はとても苦しかったです」

 「一時は韓国に“女優”という概念が別にあるようで悔しかった。わたしのことを“俳優”とは見てくれず、“女優”としか思われていないようで…。最近はこれも一つの過程だと思うようになりました。女優として見られる時期を経て“俳優”になろう、と。誰に何と言われとうと、わたしは少しずつ育っているのだから。

わたしは最近、心からそう信じています」

金浦=ソン・ヘジン記者
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c)Chosunonline.com>
関連ニュース