インタビュー:心から歌を楽しむ俳優チョ・スンウ

映画『ゴーゴー70』で実存したグループ「デビルズ」のリーダー役
リズムに合わせて観客も「ゴーゴー!」


 映画『ゴーゴー70』(10月2日公開)は「チョ・スンウによる映画」だ。ミュージカルや映画で大活躍しているチョ・スンウと音楽映画は、当然の組み合わせかもしれない。映画『マラソン』(2005)、『タチャ/イカサマ師』(06)、ミュージカル『ジキルとハイド』(04)、『ヘドウィグ』(05)、『ラ・マンチャの男』(07)などでずば抜けた演技力と表現力が認められたチョ・スンウは、今回も観客にその評価が間違っていなかったことを感じさせている。

 9月25日、ソウル三清洞でチョ・スンウに会った。ミュージカルスターとして名が知れているにもかかわらず、「僕は歌のうまい俳優ではない」というチョ・スンウ。「ミュージカル専門の発声法というものは存在しない。高音処理や声量、バイブレーション、スケール、こういったものよりも、俳優自らが心から歌を楽しまなければならない」と強調する。ミュージカルが与える臨場感には負けるかもしれないが、有名な撮影監督10人が同時に撮影した映画『ゴーゴー70』最後のライブシーンでは、観客も一緒に「ゴーゴー」と叫ぶことになるだろう。

 「映画を撮影している間、一晩中酒を飲んで即興で演奏を楽しんだ」というチョ・スンウは、以前より少しふっくらしたようだ。チョ・スンウ特有のシャープな姿を期待していたファンは、「ええっ?」という驚きの声を上げるかもしれない。しかしセクシーな印象を与える腰振りダンスも巧みにこなし、一昔前のベルボトムをヒラヒラさせながら乱暴な言葉を吐き散らすキャラクターを演じるためにはやむを得ない選択だった。

 この作品は、実在したグループ「デビルズ」を主人公にしたフィクションだ。デビルズは68年から80年まで活動し、4枚のアルバムをリリースした韓国のソウルミュージック生みの親。チョ・スンウはデビルズのリーダー、サンギュ役を演じ、シン・ミナはデビルズと一緒に流行をリードした「ミミとワイルドガールズ」のミミ役でロックンロールを熱唱する。

 この作品に「時代的精神に欠けている」という批判は似合わない。夜間通行が禁止されたり、長髪・ミニスカートが取り締まりの対象となっていた70年代の若者たちは、「退廃文化」「ダンス狂」などの方法で時代と和合しなかったも同然だからだ。

 チョ・スンウが自らギターを弾き歌った曲は計10曲。60‐70年代を風靡(ふうび)したウィルソン・ピケットの『ムスタング・サリー』、アイク・アンド・ティナ・ターナーの『プラウド・メアリー』などの名曲をハイビートに編曲し、映画のスピード感をアップさせた。シナリオから音楽の選曲まですべての作業を一緒に行い、「産みの苦しみを共にした」と話す。

 「チョ・スンウによる映画」ということは確かだが、だからといって「チョ・スンウのための映画」ということはできない。スターのチョ・スンウがクローズアップされるのは当然だが、「サンギュのデビルズ」というよりは「デビルズ」それ自体がメインに描かれているからだ。

 出演者たちは撮影前から親しく、既に弘益大学で2度もコンサートを開催したほどの「団結力」が作り出した結果だと言えるだろう。グループ「ノーブレイン」の元リーダーで弘益大の人気バンド「ザ・ムーンシャイナーズ」のリーダー、ギター担当のチャ・スンウ(マンシク役)の生きのいい魚のような姿が光っている。チョ・スンウは「チャ・スンウはまだ演技の経験はないが、彼の目は野獣のようだった」とほめた。「ミュージカル『ヘドウィグ』のときも、『チョ・スンウを見に行ってオ・マンソクのファンになって帰る』という話を何度も聞いた。僕が“看板娘”になってほかの俳優たちの魅力を引き出すことができればいい」

 チョ・スンウは優しいというより荒っぽい性格だという。「そのうわさは僕が流した。優しくて味気ない少年のイメージから抜け出すために」と話すチョ・スンウ。この俳優は演技力だけではなく、人を操る力も持っているのかもしれない。

チョ・ボユン記者


◆『ゴーゴー70』シン・ミナのすっぴんダンス



◆『ゴーゴー70』チョ・スンウのライブのレコーディング現場



◆『ゴーゴー70』弘益大でのコンサートの映像

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