『のだめ』が文化コンテンツとして成功したワケ

日本の漫画『のだめカンタービレ』


 文化コンテンツは「ワンソース・マルチユース(一つの素材を複数のメディアで利用すること)」のジャンルと領域を衝突させながら拡大するとき、無限の付加価値を創り出し、雪だるま式に膨れる。2001年から日本の女性漫画誌『Kiss』で連載され、単行本だけで累計2800万部以上を発行している『のだめカンタービレ』(二ノ宮知子作)がその代表だ。若くて非凡な才能を発揮しながら、大衆的な“漫画”、伝統的で堅いイメージの“クラシック音楽”。水と油のように交わらないと思っていた二つの世界が交わり、爆発的な化学反応を引き起こしている。

 雑誌に連載された漫画一遍が日本の文化商品市場を騒然とさせた。『のだめカンタービレ』は2006年フジテレビで同名ドラマが放送された後、アニメや小説、アルバム、コンサート、ゲームと進化を繰り返した。この漫画に掲載されたベートーベンの交響曲第7番がクラシックチャートの上位にランクインしたり、漫画で紹介された音楽を中心に構成したコンサートのチケットが完売したり、クラシック音楽に馴染みがなかった若い世代にクラシック人気を及ぼしている。

 漫画は英語版、韓国語版、中国語版でも紹介された。漫画やドラマが人気を得て、最近韓国ではクラシック音楽を素材にしたドラマ『ベートーベン・ウィルス』(MBC)が放送されている。

 アジア圏にまでこの漫画が波及したのは、日本の漫画特有の大衆性と専門性がうまく合わさっているためだと専門家たちは分析する。音楽コラムニストのユ・ジョンウさんは「食べ物を素材にした『美味しんぼ』や、ワインをテーマにした『神の雫』のように、単純にクラシック音楽を背景にした学園ラブストーリーにとどめないで、専門的な取材と緻密な構成を元に、漫画を通してクラシック音楽の魅力を伝えるのに成功したため」と述べた。

 特定のテーマを扱うとき、適当なところで妥協しない日本特有の職人文化が、大衆性を確保する原動力になったということだ。ユさんは「漫画を好きな若い世代には、クラシック音楽への関心を引き起こし、逆にクラシック愛好家には漫画への好奇心を呼び起こした。アジアで、日本の漫画が持つ大衆的な波及力と合致しながら、幅広い人気を集めるのに成功した」と述べた。

 漫画『のだめカンタービレ』は、漫画家が伝統的で手作業的な方法で制作し、複合文化商品として徐々に発展していったケースだ。『Kiss』の編集者・三河かおりさんは「二ノ宮さんが自身のブログを訪問した音大生たちと話をしながら、実話からヒントを得た」と述べた。例えば、洗濯物が散らかっていたり、洗っていない食器が溜まっているゴミ溜め部屋の真ん中に、グランドピアノが置かれている絵は、その音大生の部屋とまったく同じだというのだ。三河さんは「ピアノと部屋のギャップがあまりにも激しくて面白いので、すぐに企画会議を行った」と語った。

 漫画一遍が文化市場全体に及ぼす影響は凄まじかった。単行本はこれまで約2800万部を発行し、2006年フジテレビで11話放送された同名ドラマは平均視聴率18.8%、最終回は21.7%を記録し、漫画に劣らぬ人気を得た。

 2006年12月にはドラマの脚本をノベライズ化した『小説のだめカンタービレ』が発売され、また違うジャンルが誕生。昨年フジテレビでアニメ化もされ、半年で23話が放送された。他に、「のだめオーケストラ」を作って実際にコンサートを行い、アルバムも発表。さらに漫画に登場するキャラクターの楽器演奏方法の紹介を含め、実際にプレイを楽しめる体験型ゲームも発売された。月刊『客席』のリュ・テヒョン編集長は「一つのジャンルやアイテムに短期的に依存するのではなく、長期的に将来を見据えながら関連文化商品をパッケージでまとめて出す企画力に注目すべき」と述べた。


■『のだめカンタービレ』とは 

 “のだめ”は漫画の主人公・野田恵の愛称で、カンタービレは「歌うように」という意味の音楽用語。日本の音大生の成長過程をコメディタッチでありながらも、ロマンチックに描いた「音楽青春物」だ。ピアノ科2年生ののだめが、ピアノから指揮までこなすスーパーエリートの3年生、千秋真一を慕うようになる。オーケストラ結成、コンクール挑戦やヨーロッパ留学などさまざまな出来事を経験しながら二人は愛を育んでいく。

漫画『のだめカンタービレ』を原作にしてフジテレビで放送されたドラマホームページ(上)、漫画で紹介された音楽を中心に構成されたコンサート(左下)、『のだめカンタービレ』のアルバム(右下)

東京=キム・ソンヒョン記者
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