高速道路のサービスエリアのメニューの中で一番人気があるのは予想通り「うどん」だった。今年1‐7月まで全国のサービスエリアでは、うどんが約385億4000万ウォン(約37億円)の売上高を記録し、すべてのメニューの中で圧倒的1位に輝いた。2位のラーメン(194億ウォン=約19億円)の約2倍に近い金額だ。某サービスエリアの管理者は「サービスエリアに立ち寄る人は、早く手軽に空腹を満たすことができるメニューが好きで、値段が高く美味しい料理は人気がない」と話す。
ビビンバ、クッパ(スープご飯)、ペッパン(スープとご飯の定食)など、サービスエリアで昔から定番のメニューを押さえ、2位になったインスタントラーメンの人気ぶりも目に付く。サービスエリア側は、韓国人はインスタントラーメンが好きな上に、ほかのメニューよりも当たり外れがないという点が、ラーメン人気の秘訣だとみている。3位は156億ウォン(約14億円)を記録したビビンバだった。
スルメは135億ウォン(約12億円)で4位を記録し、間食類の中では最も多く売れた。次いでクッパ5位、海苔巻き6位、ペッパン7位の順となった。サービスエリア名物の一つ「クルミ菓子」は4億7000万ウォン(約4220万円)で8位になった。
◆うどんが美味しい器興サービスエリア
京釜線の器興サービスエリア(下り線)は手打ち式めんが美味しいと評判。平日でも1日1000杯以上売れる「サービスエリアうどんの名家」だ。
ここで注意すべき点は「手打ち」ではなく「手打ち式」ということ。手打ちではなく、手打ちの味を再現する「さぬきうどん用の機械」を使用し、厨房で毎日製麺している。
料理長のハン・ウンギュさんは「手打ち式というと、ほとんどが中華料理店のチャジャンめん(韓国風ジャージャーめん)のようにその場でめんを打つ様子を想像するが、日本の手打ちめんはそういう風に作るのではなく、韓国のカルグクス(手打ちめんの一種)のめんを作るように丁寧にこね、広げて包丁で切るというやり方。毎日手作りの生地を1日熟成させた後、機械で細く切る」と説明した。
生地には人工の添加物を加えず、塩水と小麦粉だけで作る。スープはかつお節、サバ、昆布など天然の材料だけでだしを取る。冷凍めんを使う一般的なサービスエリアのうどんとは一味違う。「シンプルにうどんの味を楽しみたければ、天ぷらやそのほかの材料が入っていない素うどんがオススメ」という料理長。最近は日本の観光客が天ぷらうどんをよく注文するという。看板に書いてある店名「ヒャンチョンうどん」は、日本で手打ちうどんで有名な「香川(ヒャンチョンと読む)県」から取ったもの。ヒャンチョンうどん4500ウォン(約430円)、天ぷらうどん6000ウォン(約540円)。
◆みんな大好き、天安のクルミ菓子
京釜線の天安三差路サービスエリア(ソウル方向)は全国で最も多くクルミ菓子が売れるところ。1日平均1000万ウォン‐2000万ウォン(約90‐180万円)分のクルミ菓子が売れている。サービスエリアでクルミ菓子を販売するウォン・ジョンピルさんは「1973年からサービスエリアでクルミ菓子が販売されるようになった。天安はクルミが有名なため、販売当初から自然と売り上げが全国1位になった」と話した。
天安クルミ菓子の元祖は、40年代ごろから天安の広徳山産クルミで作られ販売されたという「ハックァおばあちゃんのクルミ菓子」(www.hodoo.co.kr)だといわれている。天安三差路に行かなければ「元祖クルミ菓子」を食べることはできないが、せっかちな韓国人たちは天安サービスエリアに到着するとすぐにクルミ菓子を買おうとする。ウォンさんは「お客様の中にはトイレを済ませるよりも先にクルミ菓子を買おうとする人もいる」と笑う。
クルミ菓子の生地を直接作っているのは天安サービスエリア、チュクアム・サービスエリア、漆谷サービスエリアなど。天安三差路サービスエリアは1日に小麦粉15袋(米国・オーストラリア産)、クルミ30キロ(米国産)、小豆60キロ(中国産)を使ってクルミ菓子を作っている。ほかで販売しているものよりも皮が厚く、フワフワしているのが特徴だ。
しかしクルミの量は少ない。1個当たり一かけらか二かけらしか入っていない。20個入りで1袋2000ウォン(約190ウォン)。