ソウル江南の某カフェで会ったソン・スンホンの第一印象は想像とは違ったものだった。彫刻のような顔で舞台の上から手を振る優雅な姿を見慣れたせいだろうか。実際のソン・スンホンもまた、髪の毛ひとつ乱さない完璧な姿で電子ピアノを弾くかのようにインタビューに臨むだろうと想像していた。しかし本物のソン・スンホンは常に苦心しながら少しずつ向上していく典型的な努力型だった。礼儀正しく、面白くない(?)冗談を言っては周りを笑わせようと頑張っていた。返答に困る質問をされると、遠くを見ながらあいまいに返事をした後、一生懸命答えを探そうとする熱意も見せた。一夜のうちにスターになったのではなく、一人でこつこつ努力する森の中の鍛冶屋のような真面目さがソン・スンホンから滲み出していた。残暑の中で写真撮影を終えたソン・スンホンは、レモンスカッシュを注文した。額に光る汗が乾くまで続いたスポーツ朝鮮とのインタビューは、最近スタートした『エデンの東』から、デビュー作の『男三人女三人』にまで及んだ。
「『エデンの東』は長い目で見る作品。最初の視聴率は気にしない」
-『エデンの東』が第4話まで放送されたが、周りの反応はどうだったか?
「反応ですか…(突然テーブルの上に両手を乗せてこちらに質問)反応はどうだったんですか? 台本を初めて受け取ったとき、少し重いイメージがあるなと思いました。だからドラマがヒットするかどうかについては多くの方々が半信半疑でした。そのせいか前半の視聴率が比較的よくないと聞いたときもあまり驚きませんでした。このドラマは全50話という長い物語だし、第15~20話から興味深い展開になってくると思っていましたから」
-監督や脚本家に特別な要求をした部分はあるのか?
「脚本家のナ・ヨンスク先生から『トンチョルという人物は優しくなければならず、怖いほどに暴力的でなければならない』といつも言われています。結局、魅力的な男の要素をすべて演じなければならないという手に余る役で、ナ先生にいつも『難し過ぎます』と文句ばかり(笑)。こんなことを言うのは初めてだけれど、トンチョルという人物を演じるたび、僕の実力が足りないと感じます。これまで僕は怠け過ぎてしまったと反省もしました。30年と少しの年月を生きてきたけれど、もっと一生懸命生きるべきだったと後悔してばかりです。トンチョルのように人生に屈曲が多い人物を演じるためには、間接的な経験が足りないのかもしれません。まだまだ努力が足りないようです」