今はトップスターの余裕が感じられるが、かつてソ・ジソブには「万年ナンバー2俳優」というレッテルが付きまとった。1995年にジーンズブランド「STORM」のモデルとしてソン・スンホンと共に抜てきされたが、人気が出たソン・スンホンと比較され続けた。デビュー当初は「目が小さいから二重まぶたの手術をしよう」というマネージャーとよくケンカしたという。「俳優ソ・ジソブ」を世に知らしめたドラマ『バリでの出来事』(04)終了後も、状況はあまり変わらなかった。同ドラマで共演したチョ・インソンに人気で押され、「僕はこんな風に(連続ドラマにときどき出演しながら暮らしていく)“生活俳優”として人生を終わるんだな」と思ったそうだ。
「演技中に死にたい」という俳優もいるのに、なぜそう思ったのだろうか。「演技が本当に好きで、やっと面白さが分かってきましたが、それでも長い間演技をするつもりはありません。結婚すれば別の道を見つけようとするかもしれません」。
だからといって、今すぐ結婚するつもりもない。「僕の周りにはどうして離婚した人がこんなに多いんだろう。僕は子供のころ、家が経済的に苦しかったでしょ。そのせいか、幸せな姿が(頭の中で)あまりうまく描けないんです」。表情の奥底にのぞく深く憂うつな表情の源は「家庭環境によるものでしょう」と話す。ソ・ジソブの胸には、女手一つで育ててくれた母親と家賃30万ウォン(約3万円)の部屋で暮らし、家計を支えなければならなかったころのことが今もよぎるようだ。
ソ・ジソブは最近、自分の名前が出ている記事やブログの一つ一つに目を通している。「いくつかのブログに“イケメンたち”というタイトルで写真が掲載されているのですが、“あいつ(ソ・ジソブのこと)は除く”というコメントがたくさん書き込まれているんです。ああいう書き込みは本当にいい。僕がイケメンのはずがないでしょ。周りの人には“君はいい時期に生まれてきた”といわれます。顔がのっぺりしすぎていて、10年早く生まれていたら人気が出なかっただろうって」。だからか、「リトル・ソ・ジソブ」と呼ばれているユ・スンホに申し訳ないという。「それに、僕は“ナンバー2”といわれるのは本当に嫌いなんです。この間、ミュージックビデオの撮影で共演したとき、スンホ君に会って“ごめん”っていいました」。
実は、ソ・ジソブは「短答型」俳優として有名だ。そのソ・ジソブがこれほどたくさん話してくれたのは、「この映画はうまく撮れた」という期待が大きいからだろう。ソ・ジソブは観客数をどれくらいになると見込んでいるのだろうか。「今回の映画ですか?100万人さえ越えてくれれば、と思っています。ふう…。親しい先輩たち(ソン・スンホンとクォン・サンウ)が映画を撮るのを見たんですが、100万人を越えるのは本当に大変なことですよ」。