本紙映画チームが語る『映画は映画だ』の魅力

本紙映画チームの「今週の選択」:『映画は映画だ』


 映画チームの「今週の選択」はソ・ジソブ&カン・ジファン主演の『映画は映画だ』。アクションにコミック、ヒューマン・ドラマにラブストーリーのテイストまで味わえるが、映画全体を支配する暗く陰うつとしたムードのため、気持ち的には「(家族で楽しめるというイメージが強い)秋夕(中秋節)シーズンの映画」というカテゴリーには入れにくい作品だ。韓国映画界の「異端児」キム・ギドク監督がプロデュースと脚本を手がけたということもあり、この映画の大衆性に疑問を投げかける観客も少なくない。そのため、評論家からは熱い支持と極端な嫌悪を同時に受けている。

 しかし、目はギラギラしているが、肩の力は抜けている主人公の男二人が発散する「男性ホルモンの供宴」は、コアなファンの熱い支持を受け、11日封切りの映画の中では前売り率トップを走っている。特に、兵役としての公益勤務を終え4年ぶりに観客の前に姿を見せるソ・ジソブは、独特の暗い視線とスタイリッシュで魅力的な肉体でファンの目を捕らえて放さない。キム・ギドク監督の下で助監督を務めたチャン・フンの映画監督デビュー作だ。

 俳優になりたいヤクザ「イ・ガンペ」(ソ・ジソブ)と、トラブルメーカーのトップスター「チャン・スタ」(カン・ジファン)は、お互い一心同体であったかのように、相手を通じ自身のアイデンティティーを少しずつ見いだす。「他人は自分を映す自我(鏡)」というジャック・ラカンの命題通り、二人はお互い、鏡の中に映った「自我」のように自分を認識し始める。

 この映画をいとおしく感じるのは、「俳優」いや「スター」たちへの当てこすりや冷笑を愉快に表現しているからだ。実際の出来事のように「演技」する俳優チャン・スタの虚像は、本当のヤクザであるイ・ガンペが吐き出す毒舌を前に、少しずつ崩れていく。

 この映画が持つ美徳は、ほかとは違ったバランス感覚だ。一歩間違えれば「ヤクザを美化する映画」と非難を浴びるかもしれない。人為的ではあるが、カジュアルテイストの白のスーツ(チャン・スタ)と黒のスーツ(イ・ガンペ)ではっきりと区別されている主人公二人は、ラストのグレーの干潟での対決シーンで、結局はまったく同じ欠点の塊であることを認めることになる。

●似たもの同士にまつわる興味深い想像、アクションへの痛快な面白味。★★★★
(映画評論家イ・サンヨン氏)

●荒っぽく描かれ、漫然としたアクション叙事詩。練り直しが必要。★★
(映画コラムニストのファン・ヒヨン氏)


◆ストーリー:拳には自信があるヤクザ顔負けの俳優チャン・スタ(カン・ジファン)は、意図せずして相手役の俳優に暴力を振るい、映画が撮影中止の危機に追い込まれる。そんなとき、居酒屋で偶然会ったヤクザのイ・ガンペ(ソ・ジソブ)のことを思い出し、彼に相手役になるよう提案する。一時、俳優になることを夢見ていたイ・ガンペは、物まねや遊びのような俳優たちの演技をあざ笑い、チャン・スタに一つ条件を出す。「アクションシーンは絶対に実際にやろう」と。撮影が始まり、二人は本当に一戦を交える。

崔宝允(チェ・ボユン)記者
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