ユン・テヨン「俳優は常に自分を超えなければ」

ユン・テヨン単独インタビュー(下)


 寡黙でクールなユン・テヨンだったが、話しているうちに少しずつ距離が縮まっていく。私的な部分にも忌憚(きたん)なく口を開くと、その表情に少しずつ笑顔が多くなっていった。

-『2009 アウトロー球団』のオ・ヘソン役についてもう少し教えてください。

 「イメージとして『シティーハンター』の冴羽 獠のような役です。日本でも有名な漫画はそうでしょうが、韓国で『恐怖の外人球団』(『2009 アウトロー球団』の原作)は国民全員が知っていると言っても過言ではないほどの漫画なので、自分がイメージに合わないと言われてしまうかもしれません。漫画では複合的なキャラクターですが、ドラマは女性との恋愛や、チームを引っ張っていく役どころがあります」

 「冴羽 獠」という名が出たのには驚いたが、日本の漫画やドラマはよく見ている。最近はやはり野球ものが気になり『H2』や『ROOKIES』を見たとのこと。

そして野球といえば、ユン・テヨンは北京オリンピックで韓国に金メダルをもたらした立役者イ・スンヨプ=読売ジャイアンツ=と親交がある。今日も同じ飛行機で日本に来たという。この日は偶然空港で会ったそうだが、今回のドラマ出演を応援してくれているそうだ。

-イ・スンヨプさんに野球用品を送ってもらったそうですね。

 「今朝同じ飛行機で日本に来たんですよ。何も知らずに空港で偶然会ったんですが(笑)」。わたしは左利きなんですが、左利き用の用具はなかなかないんです。スンヨプ選手も左利きなので左利き用はないかと聞くと、オリンピック前に左利きの用具を送ってくれたんです。ドラマでは左も右も両方使うのですがスンヨプ選手に、“どっちを使うんだ?”と聞かれ、どっちも使うと答えると“どちらかひとつだけにしろ”と言われました(笑)」



-日本では特に、『太王四神記』のヨン・ホゲのイメージが強すぎて、比較されることが多いかとも思いますが、それに関してはどう思いますか。

 「俳優という職業は常に自分を超えなければいけない職業だと思います。そして新しい自分を作らなければいけません。『2009 アウトロー球団』での役はこれまでと違うし、『太王四神記』でのキャラクターの「強靭さ」に加えて「愛」があります。『太王四神記』の強さと異なる意味で強さを表現しなければなりません。ひとつの役を務めることにより、新しいイメージを作れるので楽しみと期待があります」

-『太王四神記』は、今、ユン・テヨンさんにとってどういう意味のある作品ですか。

 「キム・ジョンハク監督は若いころから憧れの方。仕事を一緒にしてみたかった方です。

 『太王四神記』に参加させていただき俳優として多くのことを学びました。長期間にわたり作っていったため、スタッフとの関わりや、現場での俳優としてのあり方など、骨身にしみて学べました。『太王四神記』で感じたことを忘れずに、『太王四神記』があったからこそ学べたことを大事にしたいです」

 これまでユン・テヨンは「『太王四神記』のことは早く忘れたい」と口にしていたので、遠慮がちに質問したのだが、ストレートに明解に答えてくれた。『太王四神記』の存在の大きさゆえに、次へ進むために早く忘れたい、としていた思いがしっかり伝わってきた。ユン・テヨンは、『太王四神記』によって一段ステップを上った成果を『2009 アウトロー球団』で発揮してくれるに違いない。



東京=野崎友子通信員

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