今年のバカンスは北朝鮮の高級リゾートで

金剛山「アナンティ・リゾート」

 「禁断の地」北朝鮮に建てられた高級リゾート。このアイロニーな設定を考えなければ、金剛山の「アナンティゴルフ&スパリゾート」は「韓国型リゾート」としての魅力に溢れるリゾートだ。

 25ホール分はある広大な土地に18ホールだけを作り、既存の森を最大限生かしたというゴルフコースには、自然を保護する配慮が感じられる。有名な「カルティギ(じょうご)」ホールや、世界最長ホール(1014ヤード)のほか、幸運をもたらすという「雷に打たれたナツメの木」(15番ホール)もゴルファーたちの間で話題になっている。


 ゴルフ場を除いても、「金剛山とのバランス」を念頭に置いて建てられたクラブハウスや客室は注目に値する部分が多い。まずは客室の「ジャグジービラ」。ブラウンを基調とした一般の客室は、長方形のシンプルな構造。地域によって客室の雰囲気が違うバンヤンツリー、華やかでありながらプライバシーを守ってくれるアマン系のリゾートに比べれば「ビジネスホテル」のように見えるかもしれないが、家族連れのバカンスならこれでも十分だ。客室ごとに広いジャグジーがあり、シャワーコックもひまわりの形をしている高級品。また、しゃがんで足だけを洗う韓国人のために、日本式の浴室用イスが用意されているなど、細かい配慮も感じられる。アメニティグッズはフランス・プロバンス産のハーブを使ったイタリアの高級ブランド「Laura Tonatto」。

 レストラン、ライブラリー、フロントデスクがあるクラブハウスはこのリゾートの目玉。南海ヒルトンリゾート、GS建設のマンションブランド「Xi(ザイ)」ギャラリーなどを設計したケン・ミンソンジン氏(SKM建築事務所)が、金剛山1万2000峰からアイディアを得て建てた、韓国最大規模の木造建築物だ。ゴルフの成績だけにこだわるのではなく、建物のディテールを見学するのも楽しいだろう。

 タイやインド料理をはじめとしたレストランの食事も評判。料理長のチェ・ジウォン氏は「現地の材料に忠実なレシピを考案中」と話している。マッサージルームは外国のリゾートに比べやや狭い。


 客室やクラブハウス、ゴルフコース、スパのような「ハードウエア」はかなりの水準だが、「ソフトウエア」は補完が必要な部分も少なくない。出入りも自由ではなく、外部での観光も限定された状況のため、さらに開発が必要だ。リゾート側はまず、映画数百本のライブラリーを完備したエンターテインメントボックスを今月末ごろまでにすべての客室に設置し、ヨガのプログラムも運営する予定だが、それだけではまだ足りないように見える。本物のリゾートとして名声を得るためには、「場所の悪条件」を克服するような奇抜なアイディアが必要だ。ソウル蚕室から出発し同リゾートまでの所要時間は、出入国手続きを含め約5時間。リゾートとゴルフ場は会員のみが利用できる。

パク・ウンジュ記者
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