江原道麟蹄一帯は黄太(スケトウダラを乾燥させたもの)料理が有名で、黄太を出す食堂が多い。中でも一番異彩を放つのが「ソンヒ食堂」。「江原道の味」の代表格とされる黄太とナムルを一緒に味わうことができるからだ。美味しい黄太料理のほかにいろいろなナムルが並び、その豊富な種類と味は山菜定食専門店以上だと評判だ。
黄太定食(8000ウォン=約830円)はなんといっても黄太コムグク(黄太を煮込んだスープ)が美味。牛の骨を煮込んだような白濁したコクのあるスープだ。黄太を惜しみなく使って煮込んだことを証明するかのように、スープの中には黄太がたっぷり入っている。黄太の骨を取り除き、まずはその骨だけを煮込み、そこに身を加えて再び煮込む。スープの上に浮いている黄色い油は隠し味として使われているエゴマの油。ごま油は煮込んでいるうちに苦味が出るため、エゴマの油を使うという。
おかずには大根の若菜のキムチ、切り干し大根のコチュジャン(唐辛子味噌)漬け、そして10種類に及ぶナムルがテーブルの上に並ぶ。季節の山菜のほか、ツルニンジン、各種キノコ類、ワラビなど。ナムルはそれぞれ薄味でさっぱりしており、いくらでも食べられそうだ。ゆで加減の難しいナムルにちょうどよい歯ごたえが残っている。ナムルがあまり好きでない人も美味しく食べられそうだ。ここに、コチュジャンに漬け込んでおいた黄太を焼いた一品が付く。
同店の女主人の語る味の秘訣は二つ。近所の人たちと一緒に近くの山に登って採ってきた新鮮な山菜を使うことと、それらをエゴマの油で和えること。ソウルのようにサラダ油を使うと、薬味が山菜に染み込まず、多少ベタベタする。しかしエゴマの油は山菜に優しく染み込むという。エゴマは毎日絞りたてのものを使っている。
酒のつまみにするならば、蒸しアンコウのような味付けで調理した蒸し黄太がお勧め。かなり辛い。このメニューにも黄太定食のスープとナムルがすべて付いてくるが、焼き黄太は含まれておらず、ご飯は別料金。大3万5000ウォン(約3650円)、小2万5000ウォン(約2600円)。量が多いため、小を注文しても大人3‐4人で十分に食べられる。
竜垈里にある百潭寺入り口の国道沿いで1995年から営業していたが、国道の拡張により、昨年8月に北面元通7里の元通中高校前に改装オープンした。雪岳山や束草、襄陽に行く際に立ち寄るだけの価値はある。屋号の「ソンヒ」は次女の名前だとか。テーブルは全72席。午前9時開店で午後9時閉店。1カ月に2回ほど平日に不定休で休業するため、平日に訪れるときは前もって電話で確認した方がよさそうだ。