インタビュー:チェ・ミンス、初めて「山ごもり」を語る


 「台風が通り過ぎたからといって、すべてが終わったわけではない」

 23日午後、仁川国際空港で俳優チェ・ミンスに会った。チェ・ミンスはこの日、飛行機でカナダに向かう妻のカン・ジュウンさんと子供たちを見送った後、「今は表に出るときではない」と言葉少なに語った。

 だが、その一方で「世間を避け隠れているのではない。“隠とん”とか“閉じこもっている”という表現は正確でない。一生、俳優を続けると思う。明日すぐにでもカメラの前に立つこともできる。ただ、今ではない。(法的な判断が出た後も)やるべき課題がある」とも述べた。

 今年4月に70代の男性に暴力を振るったとして警察の取り調べを受けた後、チェ・ミンスは先月から京畿道南楊州市和道邑磨石隅里のコンテナを改造した家や廃屋で暮らしてきた。そして、この日もいつまで続くか分からない「山ごもり」を続ける意向を示した。以下は1時間余り続いた独占インタビューの一問一答。



-今の心境は?

 「今がいい。深い水の底にいれば、波を感じることはない。山は本当に美しい。見えない“生”と、その後の“死”が共存していることを毎日感じる。自己解脱の過程だ」

-自身について「都会の中のインディアン」と表現したことがあるが、もう都会に戻る時期では?

 「妻にはすまないが、ソウルでの生活は息苦しかった。もともと、作品が一つ終わると一人旅に出ていた。テント一つを背に、山の頂上で自炊し、数週間過ごしていた。今回の件で山ごもりを始めたわけではない」


-「チェ・ミンス目撃談」が話題を呼んでいる。釜山にも行ってきたそうだが。

 「ヘオ師(僧侶)に会いに行った。2年前に偶然知り合ったが、宗教を超え、生きることの知恵をくださる。“世間がうるさければこっちの洞窟(どうくつ)で過ごしなさい”とおっしゃってくださった。同好会のメンバー数人とバイクに乗り、4泊5日で会いに行った。20年も使っているバイクが故障したため、苦労した。隠とん生活ではないので、いつでも用事があれば外出する」

-山での日課は?

 「午前7時ごろ起きる。洗濯物を手で洗い、飯を炊く。時間あれば革工芸をしたり、絵を描いたりする。1日に数十枚描くこともあるが、1枚も描けないこともある。この間完成した革のカバンはユソン(長男)にやった」


-事件当時を振り返ってどう思う?

 「“時がたてば忘れるだろう”というのはチェ・ミンスらしくない。1週間一睡もできず、記者会見に臨んだ。弁解はしないということだけ考えていた。あの状況で“これは間違いで、それは正しい”と言ったところで何の意味があるのか」

-まだ言えないことがあるなら…。

 「今はその時期ではない。沈黙の裏にも言葉はある。ただこの一つだけは覚えていてほしい。俳優である前に、尊敬される夫であり、父としてチェ・ミンスは存在する」


-(俳優としての)イメージを大切にしようとは思わないのか。一連の言動が奇行として受け取られる可能性もあるが。

 「他人が行った道を進まなければならないのか。わたしは自分の道を行く。俳優だからといって、いつも雲の上の人なのか。雨に降られるときもある。このシーンを撮ればギャラが上がるとか、イメージがよくなるとか、そういうことは考えない。作品があれば魂を燃やすだけだ」

-事件終結後は?

 「近いうちに結論が出るだろうが、終わりではない。失われたアイデンティティーを取り戻さなければ。ただ、わたしにとって、毒にも薬にもなり得る状況で、信じて待っていてくださる方々に感謝の言葉だけは伝えたい」

チョン・サンヒ記者
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