一度食べたら忘れられない「春川マッククス」

 創業39年の春川サムバッマッククスには、病気のときや旅行のとき以外、毎日のように食べに来る常連が5‐6人いるという。1年に100回以上食べに来るという常連は数え切れず、一度味わうとやみつきになるのかもしれない。特に春川生まれの人はこの傾向が強いとか。

 2003年、ソウル瑞草洞にオープンした支店も「4日に一度は食べに来る」という常連客でにぎわっている。チョ・ソンジョンさんが営む直営店ではなく、知人に特別な条件なしに営業を許可した店だ。直営ではないものの、チョ・ソンジョンさんはソウルの支店も大切にしている。春川で73歳の母の後を継いだチョさんは、春川の精米所で挽いたそば粉、薬味に使うごま油、肉を煮込む味噌などを持って少なくとも1週間に一度はソウルの店を訪れ、厨房を点検する。

 そのため味も本店とほとんど変わらない。噛む必要もないほど柔らかい麺は、でん粉の代わりに穀物の粉を使って麺の密度を高めるのが秘訣だとか。真っ赤な薬味は適度な辛さで香ばしく、平壌冷麺のように牛の骨を煮込んだスープとトンチミ(水キムチ)の汁を混ぜたスープはさっぱりしている。これらの材料が作り出す味わいは、「絹のようにまとわりつく」という意味の単語「シルキー」が相応しい。はっきり「これ」と説明できない微妙な味が、ご飯のように毎日食べても飽きない秘密なのかもしれない。

 薬味と交ぜて半分食べた後、スープをかけて食べるもよし、ヨルムキムチ(若大根の葉のキムチ)を入れて食べるもよし。一番お勧めなのは、からしと酢を少しずつ加え、たっぷりスープをかけて食べる方法。この店のマッククスの美味しさを十分に味わうことができる。

 チョさんは瑞草洞の店がオープンしたばかりのとき、厨房で1カ月間寝起きしながらマッククスの微妙な味を出す方法を伝授した。水温と季節の変わり目には今でも1週間厨房にこもるという。それでも「春川の味と100%同じとは言えない」と話す。水の味や水温のためだ。「サムバッ」は春川の本店がある泉田里の別名。名前の通り、水がきれいで豊かな地だ。春川の店は水温が年中10‐12度の地下水を使用している。そばを使った麺は熱に敏感なため、一定の水温で冷やさなければならないが、冬は冷たく夏にはぬるいソウルの水道水では味がそのたびに違ってしまうからだ。

 マッククス(7000ウォン=約710円)、緑豆ジョン・ジャガイモのジョン(韓国風お好み焼き)=それぞれ8000ウォン(約815円)、茹でた肉のスライス(1万6000ウォン=約1630円)、生豆腐(6000ウォン=610円)など、メニューはすべて春川の本店と同じ。座席数は40席。立ち食い席30席のほか、20人の個室もある。教大駅から江南駅の方向に直進し、最初の信号を右折した路地の奥。教大駅1番出口から歩いてすぐのところにある。駐車場10台。旧正月と旧盆以外は年中無休。

オ・テジン記者
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