コチャンの白ハマグリに舌鼓

◆全羅北道コチャン郡「ダウン会館」

 禅雲寺、麦畑、未堂の詩…。全羅北道コチャン郡は四季折々の情緒あふれる街だ。しかし食べ物といえば風川(プンチョン)ウナギ程度しかないという印象もある。そんなコチャンで珍しい店を発見した。「貝の中の貝」「最もきれいな貝」と呼ばれる白ハマグリをふんだんに使った料理を食べさせてくれる「ダウン会館」だ。

 もともと貝を使った料理は扶安が有名だが、全羅北道扶安郡のセマングム(全羅北道・群山、金堤、扶安郡一帯を干拓した多目的用地)の工事が終わった後、白ハマグリの採取量は半分に減ったという。ダウン会館ではコチャン郡心元面マンドル里の干潟で採れた白ハマグリを使っている。 身がプリプリの白ハマグリ15‐16個を使った刺し身、焼き物、鍋に加え、あえ物、おかゆの付いたコースが1万8000ウォン(約1800円)。

 まず最初は刺し身。とにかく甘い。それだけ新鮮ということだ。5月は白ハマグリの旬でもあり、新鮮さが舌からとろけるように伝わってくる。アルミホイルで包んだ「焼きハマグリ」は、焼いたというより蒸したハマグリに近い。アルミホイルの間から湯気が上がるほど熱々のものがテーブルに運ばれてくる。アルミホイルを取った瞬間、パカリと貝が開き、中から身が顔を出す。アルミホイルにたまった汁は必ず飲んでほしい。濃縮された100パーセント天然の貝スープだ。

 鍋は薬味を一切使用せず、加えるのはネギと唐辛子だけ。ハマグリからたっぷりダシが出た白濁スープはさっぱりして後を引く。唐辛子の辛さが貝の生臭さを消している。甘酸っぱい味付けのあえ物も食欲を刺激する。おかゆはすりつぶしたエゴマと緑豆を入れたもの。ごま油をかけて食べるといくらでもおなかに入りそうだ。

 最初にテーブルに並んだ料理を見たときは、「これを全部食べられるだろうか」と思ったけれど、結局きれいに平らげてしまった。

 そのほかのおかずでは、バカガイの塩辛が美味。2‐3日熟成させた塩辛は、あえ物のように身がふっくらしていて、塩味控えめだ。貝の身がシコシコしている。切り干し大根のコチュジャン(唐辛子みそ)漬けもおいしい。

 このコースが提供されるようになってから3年しかたっていないが、料理歴10年のオーナーの腕が光る。スープと焼き物、おかゆは単品でも注文できるが、やはりコースがお勧め。

 コチャン邑城前から石汀温泉の標識に従って東に200メートルほど進むと、道の左側にある。ホール40席、12人用の部屋が二つ、4人・8人用の部屋は一つずつ。部屋の前後には韓国伝統の窓付きドアがあり、後ろのドアを開けると、ボタン、カボチャ、フキ、ソバナが植えられた小さな裏庭を見ることができる。旧正月・旧盆を除き年中無休。

オ・テジン記者
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