全州、春の美食紀行

◆おかずだけで30種類、全州ペッパン


 美味しい上に、ボリュームたっぷりの量で有名な全州料理。そんな全州料理の中でも特にたっぷりのボリュームを実感できるのはペッパン(ご飯にスープとおかずがついた定食)だ。6000ウォン(約600円)のペッパンに添えられるおかずの数は30種類以上。さらに驚くのはそれぞれのおかずがすべて美味しいということ。以前は、全州にある全羅北道庁の近くだけでペッパン専門店が10軒以上あったが、薄利多売の営業は厳しく、どんどん店が減っている状態だ。現在は中央洞の韓国食堂のほか、完山区庁近く、西老松洞、全北大学周辺などに数軒残っているだけだ。

 このうち中央洞の韓国食堂が代表的な人気店として知られている。34年の伝統を持つこの店は、女性社長のイ・チュングン氏(49)が、母親の味を26年間引き継いでいる。一人の場合はチゲが2種類、3人の場合は3種類、4人のときはキムチチゲ、チョングクチャン(納豆汁に似た韓国料理)、川エビのスープ、卵スープという4種類のチゲがテーブルに並ぶ。このほかにもサバの煮込み、ゆでたイカ、肉炒め、焼き豆腐、トトリムック(ドングリの寒天)、牛肉の醤油煮、煮豆、イカの炒め物、焼き海苔、チャプチェ(肉や野菜を春雨と一緒に炒めたもの)、ワカメの和え物、ワラビの和え物、カキの塩辛、貝の塩辛、ネギのキムチ、白菜キムチ、ブロッコリーの炒め物など、美味しいおかずがテーブル一杯に並ぶ。

 この店は一度調理したものが冷蔵庫に入るということはないという。1日に訪れる客の数を予想し、その分だけ料理を準備する。ランチの準備は午前7時から、午後2時30分からは夕食の準備を始める。全州市、道庁、企業などから紹介を受けた外国人の顧客も多く、特に日本人に人気があるという。

◆豆アイスが美味しい「ファシム・スンドゥブ」


 この地方でスンドゥブ(絹ごしの豆腐)は完州が有名だ。完州所陽面のファシム・スンドゥブが全州に上陸したケースだ。一番有名なのは全州完山区中華山洞にある「完州ファシム・スンドゥブ」。2階建ての大きな店で、豆関連のさまざまなメニューがそろっているのが特徴。豆腐料理、豆乳、豆ドーナツ、豆アイスクリームなどメニューが豊富なため、老若男女を問わず家族連れの客が多い。

 この店のスンドゥブは辛い味付けが特徴。普通、スンドゥブは薬味入りの醤油で食べることが多いが、この店は辛いスープの中に豆腐を入れてグツグツ煮たものが出てくる。辛いスープと柔らかい豆腐が煮えたぎる石鍋にご飯を入れて食べるのがお勧め。

 もちろん、辛くないメニューもある。この店の大きな魅力の一つは手ごろな値段。昨年に比べ40%以上豆の値段が値上がりしたにもかかわらず、5年前の値段(4000ウォン=約400円)のままだ。このほか、豆腐トンカツ、豆ドーナツ、豆アイスクリームも人気メニュー。豆腐カレー、豆腐あんかけご飯、豆腐ギョーザなど、若者層をターゲットにした新メニューも近々登場する。午前5時から食事が可能で、広い店内は全450席。60台収容可能な駐車場があり、ガソリンスタンドも運営している。完州本店のほか、全州、益山、三禮に直営店がある。

キム・ヒョンウ記者
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