ハ・ジョンウ「目標は100本の映画に出演すること」

 最近、彼ほど忙しい俳優がいるだろうか。今年上半期に公開された映画だけで2作。さらに最近、新たな作品の撮影を終えた。デビューから現在まで、ハ・ジョンウが休息しているのを見たことがない。

 ハ・ジョンウの名が知られるようになったのは、2005年秋に公開された映画『許されざる者』 。これ以降、映画『絶対の愛』『九尾狐家族』『2度目の恋』『Breath』『追撃者』に続き、今回公開された『ビースティー・ボーイズ』まで、次々と新しい作品にチャレンジしてきた。映画の合間には『プラハの恋人』(SBS)、『H.I.T』(MBC)といったドラマにも出演している。普通は4‐5年かけてすることを、2年間でやり終えたことになる。

 「子どものころから『俳優は100本の映画に出演できるのか』と考えていたけれど、ある瞬間からそれが僕の目標になってしまった」

 ハ・ジョンウの目標は『2度目の恋』でハリウッド女優のヴェラ・ファミーガに会ってから具体化した。「韓国の俳優たちは多い人でも年間2‐3作程度だけれど、ヴェラ・ファミーガは7本の作品に出演していたんです。徹底した準備をするハリウッドならではのシステムのために可能だったのでしょう」

 ヴェラ・ファミーガを見習い、ハ・ジョンウも『追撃者』と同時に『ビースティー・ボーイズ』や『素晴らしい一日』の撮影にも臨んだ。運がよかったのか、これらの作品の撮影日程が重ならず、順調に終えることができた。

 多作が目標のハ・ジョンウだが、だからといって決して安易に作品を選んでいるわけではない。また、同じようなイメージのキャラクターを演じたこともない。「俳優は作品によって動かなければならないと思います。作品の流れに従うべきです」


 ハ・ジョンウの「作品本位」の精神は、自然と「演技の変身」につながった。だから多作ではあるが、「典型的な演技」というものが存在しない。ただ作品の中のキャラクターが存在するだけだ。『追撃者』の残忍な殺人鬼チ・ヨンミンと『ビースティー・ボーイズ』のチンピラホストのジェヨンを比べると、ハ・ジョンウの演技に対する姿勢がよく分かる。ハ・ジョンウは自分の服ではなく、作品の服を着るのだ。

 だからハ・ジョンウは、いくつもの色を表現できる多様性を尊重する。「色々な監督や俳優がいるのに、どんどん社会が厳しくなっているせいか、以前のように多様性を認める余裕がなくなってしまったようです」

 商業映画とはかけ離れた『ビースティー・ボーイズ』は、テンポの速い展開が見せ所の映画とは違い、ゆっくりした流れの中でリアリティーを追及した作品だ。


 「観客にとっては見慣れないタイプの作品でしょう。でもこの作品によって、観客の視野が広くなると思います」

 ハ・ジョンウも演技の幅をさらに広げていきたいと思っている。『ビースティー・ボーイズ』に続き、今年下半期に公開される予定の『素晴らしい一日』まで、商業性とは直接結びつかない作品ばかりに出演してきたハ・ジョンウが、今度は純粋なコメディー映画に挑戦する計画だ。

 またもやイメージチェンジを図るハ・ジョンウの挑戦。コメディー映画に似合うようなキャラクター作りとともに、ハ・ジョンウならではの色をどのように出すのかが期待される。

パク・ジョングォン記者
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