果たしてどんな味なのだろうか。
グルメたちはこの刺し身について「絶妙な組み合わせ」と口をそろえる。
熟成キムチの深い味が魚特有の生臭さを消し、さっぱりとした後味だという。サンチュやゴマの葉ではなく熟成キムチで刺し身を包んで食べる新しいスタイルの店だ。
この店の名は「雑魚とムグンジ(長期間熟成させたキムチ)」。店の名前からして少々変わっている。ソウル江南駅近くのサムスンタウンの裏にあるこの店は、韓国を代表するグルメであり、漫画『食客』で有名なホ・ヨンマンもよく訪れるという。ホ・ヨンマンは、料理歴28年で日本に留学したこともあるこの店のチョ・ジョンドク社長を「韓国にいる数少ない刺し身の達人」と絶賛している。この店はまず、美味しい店の条件となる「味」「新鮮な材料」「たっぷりの量」といった要素をすべて兼ね備えている。特に有名なグルメ店の共通点、「最高の食材」を使うことを基本としている。
辛くない白キムチと唐辛子の粉をたっぷり入れた真っ赤なキムチは、陳富嶺のアルプススキー場近くで栽培した高冷地の白菜を使って漬ける。漬けた後は土の中に埋め、2年間熟成させる。刺し身の材料となるムツ、メイタガレイ、ヒラメ、タイなどは忠清南道泰安の新津島に住むチョ社長の兄から毎日送ってもらっているという。
教大駅近くの1号店(地下鉄2号線14番出口)も毎日多くの人々でにぎわっているため、時には送られてきた魚が早い時間に売り切れてしまうこともある。魚が売り切れた時点でその日の営業は終わりとなる。
チョ社長は魚をその場でさばいて出すよりは、熟成させた魚を刺し身にする。熟成させると身が柔らかくなり、深い味わいになるためだ。白身の刺し身にキムチをのせ、ナズナ唐辛子ソースをつけて食べる。魚とキムチが一つになり、キムチは魚の生臭さを、魚はキムチの塩辛さを補い合い、それまで隠れていた深い味わいが口の中に広がる。洗練された日本料理店の雰囲気の中で漁村風の素朴な刺し身が食べられるのも、この店の魅力の一つ。季節によって、そしてその日の潮の具合によって出てくる魚は異なり、値段にも多少の差がある。
ワインの種類も豊富だ。店は江南駅ロータリーから裁判所方面に向かって最初の道を入り、サリウォン・プルコギ店の近くにあるトラパレスマンションの地下にある。