尼さんが作る「天上の味」(上)

◆慶尚北道金泉「青厳寺」


 グルメを自負する人たちが増え、毎日のように新しいレストランがオープンしている。しかし、安心して食べられる料理を出す店は以前よりむしろ減っているというのが現実だ。そこで今週は慶尚北道金泉の仏霊山にある青厳寺に行ってきた。ただ舌の快楽だけではなく、体と心の満足感や健康を考え、昔ながらの伝統料理を食べさせてくれる、と多くの人たちから推薦を受けた場所だ。青厳寺で味わった「天上の料理」を紹介する。

 午前11時40分過ぎに青厳寺へ到着した。ソウル光化門から慶尚北道金泉仏霊山にある青厳寺までは長い道のりだった。春を迎え、道路の整備があちこちで行われていた上に小さな交通事故まで重なり、早朝の京釜高速道路はまるで駐車場のように渋滞していた。結局、約束の時間には間に合わなかった。到着したわたしたちを迎えた青厳寺住職の常徳僧侶は無言だった。寺で行われる昼の供養が午前11時30分に始まるという常識すらない記者たちを暖かく迎える気持ちにはなれなかったのだろう。

 六和寮の善徳室に入った。丸い食卓の上にはさまざまなおかずが並んでいた。「六和寮」は青厳寺僧家大学で僧侶たちが勉強するところだ。「六和」とは「ともに公正に生活し(身)、言葉で和合し(口)、心の中で和やかに(意)、一緒に戒律を守り(戒)、法に対する意見を共にし(見)、有益なことは均等に分ける(利)」という意味で、これにより「すべて和合する」という意味になるという。青岩寺僧伽大学は尼の僧伽大学として1987年に設立された。この大学で勉強中の常佑僧侶と暁譚僧侶がさらに数種のおかずを運んできた。

 暁譚僧侶は「140人余りが生活しているところなので、時間は絶対に守らなければなりません。11時25分に昼食の支度が終わります。鉢盂竹篦を叩くと供養が始まり、これには25分程度かかります。ほかの僧侶たちは鉢盂供養を終えました。食事を準備した人だけがまだ終えていません」と話した。

 わたしたちが遅刻したため、この日の料理を担当した暁譚僧侶を含め3人が食事を取ることができなかったのだ。

 申し訳ない気持ちで一杯のまま食卓を前にした。しかし「忘憂草」と呼ばれるノカンゾウのナムルを食べたせいだろうか。おかずを口に入れた瞬間から重かった心がふっと軽くなった。見事な味だった。五辛菜(僧侶に禁止されている刺激の強い5種の野菜類)を使わずに和えたナズナ、乾燥させた大根の葉、豆もやし、大根、山菜のナムルは新鮮で深い味わいだった。 コエンドロの浅漬けキムチは香ばしい香りが口の中一杯に広がった。カラシナのキムチはちょうどよい辛さで、昨年冬に漬けたという白菜のキムチはまだサクサクとしており、ジャガイモの煮込みは絶妙な歯応えを残していた。

キム・ソンユン記者
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