女優にとってイメージチェンジは宿命だ。しかし、大衆の視線と関心に女優生命がかかっている彼女たちにとって、中途半端な変身は命取りとなる。26日の放送で視聴率20%を突破した水木ドラマ『オンエアー』(SBS)。当初、テレビ界の内幕を描き話題を呼んだこのドラマは、回を重ねるごとに従来のイメージを破り、テレビ画面いっぱいに活躍する女優二人の演技で弾みがついている。準備を重ねてきたイメチェンの力。自分の成功に酔っているという点では同じだが、ハートの温度差は極端に違う二人がヒロインだ。「ホット」なドラマ脚本家ソ・ヨンウン(ソン・ユナ)と、「クール」なトップ女優オ・スンア(キム・ハヌル)。ソン・ユナもキム・ハヌルも十数年の女優生活で3回目の大きな変化の波に乗っているところだ。二人に話を聞いた。
◆一見おとなしいそうだが実は「トンデモ女」…キム・ハヌル
「控えめとか思いやりなんて知らない」「涙の演技は目薬さしてから」というトップ女優オ・スンア。演技はイマイチだが、CMの女王と呼ばれる国民的女優の趣味は、親しげに話しかける人をしかり飛ばし、小憎らしい後輩女優の顔に水やコーヒーをぶっかけることだ。
非常識なほど高慢なこのキャラクターに、キム・ハヌルは自分をピタリとはめ込んだ。歌手チョ・ソンモの名曲『To Heaven』のプロモーションビデオに出演、その清純さで一躍スターになった後、映画『同い年の家庭教師』『彼女を信じないでください』などでコミカルな演技をさせれば一番と言われた彼女にとって、イメチェンはそう簡単なことではなかったが、視聴者は夢中だ。最近一番よく聞かれる質問は「実際の性格もああなんですか」だ。「話にならないですよね。笑うしかありません。わたしが本当にそんなことをしていたら、記事になっていますよ」
本紙のインタビューギャラリー「one」で会った彼女は「台本を読んでみると、すごく興味深いキャラクターでした」と言った。『オンエアー』の脚本を書いたキム・ウンスクは「(この役を演じたら)ハヌルさんが悪口をたくさん言われそうだけど、どうしよう」と心配したが、キム・ハヌルは「そうかしら。うまくやればファンが拍手してくれるかも」と期待をかけた。「視聴者の方々は俳優が意外な面を見せると褒めてくださるから」と考えたからだそうだ。
キム・ハヌルが考えるオ・スンアは「とても寂しい女性」で「すべての俳優の共通点のような人」だ。「品はなくてもクールで堂々としているじゃないですか。視聴者は“自分ができないことをする”オ・スンアに憧れるのです」
キム・ハヌルは演技が下手なオ・スンアに共感する。自身にも同じような時期があったからだ。「『ハッピー・トゥギャザー』(1999年)に出演したとき、何時間待っても涙が出せないわたしのせいで、オ・ジョンロク監督やスタッフの皆さんがとても苦労し、申し訳なかったことがありました。それでも『ピアノ』(2001年)ではオ監督にそれなりに恩返しできたかもしれません」
記者が「一見純情そうだけど、正反対のキャラクター」と言うと、キム・ハヌルは「だから皆さんオ・スンアに共感するのでしょう」と答えた。「役柄にピッタリの人が演じたらつまらないじゃないですか。そう見えない人がやるから“あの人、もともとああいう性格なのかしら”と言われるんだと思います」