梅の花で白く染まる光陽の「梅村」(下)

 緩やかな丘を5分ほど上ると2500個の大きな壺が並ぶ光景が目に入ってくる。暖かい春の日差しを浴びた壺の中では、梅味噌、梅コチュジャン(唐辛子味噌)がじっくりと熟成している。

 この壺の横を通り過ぎ、細い道に入ると、白い別天地の中に風流な番小屋がある。ここから雪が降り積もったような真っ白な青梅農園を一目で見渡すことができる。

 光陽では白雲山の中腹に作られた展望台も欠かすことのできない見所の一つ。青梅農園をはじめ、梅村、蟾津江、そして智異山の山すそに広がる河東まで見渡せる。河の向こう側の花開市場や小説『土地』の舞台となった平沙里も近くに見える。美しい川岸に沿った蟾津江の青い流れはまさに1枚の絵のようだ。

 最初に花を咲かせる青梅のトンネルを過ぎると、体中を包むような梅の香りに当惑するほど。梅の木の下に植えられた青麦と梅のコントラストも美しい。

 青梅農園には地面に生えている草や道に転がる石まで、適当に配置されているものはない。梅の木、竹林、壺などすべてが自然と調和している。

 そのため、この農園は『風の丘を越えて‐西便制‐』『酔画仙』『チェオクの剣』『風のファイター』などさまざまな映画やドラマのロケ地として使用されている。イム・グォンテク監督100作目の映画『千年鶴』もここで撮影された。

 この農園は、生涯にわたり梅を育ててきたホン・サンリさん(66)=政府指定伝統食品名人=の血と汗と涙の結晶のような場所だ。梅の花を「娘」と呼ぶホンさんの梅への愛情物語はすべての人々を感動させる。40年以上もの間、傾斜の急な地を梅天国に変えるため、手の節々は太くなり、腰は大きく曲がってしまった。贅沢も知らないまま数十年以上古びた麦わら帽子をかぶり続けたその姿からは、「人生」への厳粛な姿勢すら感じられる。しかしそんな麦わら帽子の下に輝く優しいホンさんの笑顔には、この世に満足した人の幸せそうな表情と気品がにじみ出ている。

 梅村から始まった梅の景色は、多鴨面を超え、隣の津上面や津月面、玉谷面にまで広がる。3月15日から3月下旬までが見ごろ。梅の花が散った後は桜や梨の花が蟾津江の晩春を華やかに彩る。

キム・ヒョンウ記者
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