映画評:もう一人で地球を守る時代ではない(下)

 何度見ても飽きることのない、感性豊かなストーリーは今でも魅力的に感じられますが、2008年の「エヴァンゲリオン」は世紀末の人々の憂鬱な心を再び代弁するにとどまっています。シンジは「乗りたくない。僕がどうしてこれに乗らなければいけないのか」と自らの運命を呪いながらも、結局は祖国と地球を守るために苦戦を強いられることになります。ただ「義務感」だけのために、やりたくもないことをやる。それがシンジの悲劇であり、われわれ自身にとっても悲劇となるのです。

 17日朝、本紙のスポーツ面に掲載されていた、フィギュアスケートのキム・ヨナ選手の母親の手紙はわたしの目を釘付けにしました。感性を発揮せず、ただジャンプの練習をすることが重要なのではなく、自ら楽しめるようにしてあげることが重要だ、という内容でした。競技中に転倒し、尻もちをついても笑みを絶やさなかった「フィギュアの女王」の姿が思い浮かびます。世界水泳選手権で金メダルを獲得した後、「自分自身を誇らしく思う」と語った「マリンボーイ」朴泰桓(パク・テファン)選手もきっと同じでしょう。祖国の名誉ではなく自らのために、勝つためではなく楽しむために競技に臨む、韓国の「新人類」たちが誇らしく思えます。

 2008年1月、今やシンジの肩にかかった重い荷を下ろしてあげたいと思います。これ以上一人で地球を守る必要はありません。シンジ君、青春というものはあまりにも短いものです。

オ・スウン記者
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