映画評:もう一人で地球を守る時代ではない(上)

【1月17日公開】『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』 

 1999年12月31日夜11時59分59秒。わたしは新たな千年紀(ミレニアム)を迎えるその瞬間、ソウル・光化門の李舜臣(イ・スンシン)の銅像の前に立っていました。高さが36メートルにもなる巨大な振り子時計を覚えています。その時計の数字が「2000」になった瞬間、ミレニアムを祝うきらびやかな花火が打ち上げられ、圧死者が出るのではないかと思うほど多くの人々が詰め掛け、歓声を上げたものです。その歓声を聞いているうちに、こんな考えが頭の中を過ぎりました。あれだけ多かった「ノストラダムスの信者」たちは一体どこへ消えたのだろうか、と。「この世の終わり」を悲観していた人たちは世界観を変えたのだろうか、と。

 約10年ぶりにスクリーンに帰ってきた『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』(17日公開)を見ながら、世紀末のさまざまな思いが交差していた当時を思い出しました。か弱い少年の姿のまま、エヴァンゲリオン(汎用人型決戦兵器)のパイロットになり、地球を守る任務を命じられた主人公の碇シンジが印象に残っていたからです。全世界の人類の半分以上が壊滅した地球上で、少年は血も涙もない父親の命令を受け、力を振り絞って戦っていました。

 1990年代中盤に青春を謳歌していた若者たちにとって、全26話のテレビアニメとして登場した『新世紀エヴァンゲリオン』は、まるで一つの経典・聖典のような存在になったものです。人類の滅亡や、それから人類を守る「人類補完計画」をテーマにしたこの哲学的なアニメは「シンドローム」と呼ばれるほど熱狂的な人気を呼び、世紀末の若者たちの心をわし掴みにしました。今回公開された『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』は、エヴァンゲリオンを再び世に送り出すことを宣言するという内容の4話シリーズの第1話で、庵野秀明監督が再び総監督を務めています。

オ・スウン記者
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c)Chosunonline.com>
関連ニュース